モトリーフール米国本社 – 2026年4月11日 投稿記事より

投資家の間では景気後退(リセッション)や株式市場の下落、あるいはその両方が起こるのではないかという懸念が高まっています。最近の地政学リスクやマクロ経済の動向、そしてナスダック総合指数が直近高値から10%超下落し、一時的に調整局面の水準を下回ったことを考えれば、不安を抱いている個人投資家の方も多いでしょう。

こうした環境下では景気に左右されない強固な事業を展開し、長期にわたり安定した配当を支払う企業への投資が有効で、特に50年以上にわたり連続して増配を続ける「配当王」は魅力的だと言えるでしょう。中でも、筆者が注目しているのは、ヘルスケア大手であるジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]です。

訴訟・特許切れでも揺るがず、快挙達成へ

ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]は、ここ数年さまざまな問題に直面してきました。タルクを含むベビーパウダーががんを引き起こしたと主張する原告からの数千件の訴訟を、抱えています。さらに深刻なのは、同社がそのリスクを認識していながら対処しなかったとされている点です。また、同社は特許切れの問題にも直面しています。免疫抑制剤ステラーラは2024年に欧州で特許が切れ、2025年には米国でも特許による独占権を失いました。

ステラーラは2023年にピークとなる売上高109億ドルを記録し、売上高全体の約13%を占めました。そうした主力薬の特許切れは、どの製薬企業にとっても大きな打撃となります。さらにジョンソン・エンド・ジョンソンは米国において、政府による医薬品価格交渉の対象となっており、複数の薬剤が値下げ圧力を受けています。その結果、これらの製品から得られる売り上げは今後減少すると予想されます。

こうした逆風にもかかわらず、ジョンソン・エンド・ジョンソンの業績は順調です。2025年の売上高は前年比6%増の942億ドル、調整後1株当たり利益(EPS)は同8.1%増の10.79ドルでした。さらに同社は、2026年の売上高をガイダンスの中央値で約1,005億ドルと見込んでおり、これは前年比6.7%の増加を意味します。特筆すべきは、製薬企業として年間売上高が1,000億ドルを達成するのはまだ2社目だという点です。ジョンソン・エンド・ジョンソンが様々な問題を抱えていなかったとしても、この数字の達成は素晴らしい成果だと言えるでしょう。

不況でもジョンソン&ジョンソンが盤石だと考える3つの理由

仮に今後リセッションが起きるとしても、ジョンソン・エンド・ジョンソンの事業は大きな影響は受けにくいと考えられます。理由は3つあります。

1つ目は美容製品の対局にあるヘルスケア製品で、中でも人命に関わる医薬品の需要は景気に左右されにくく、景気下降局面でも大きく落ち込まないことです。

2つ目は、ジョンソン・エンド・ジョンソンではヘルスケアセクター屈指の事業多角化が進んでいることです。同社の医薬品部門は免疫、がん、感染症、神経科学など、幅広い治療領域をカバーしています。同社が重大な特許切れを比較的うまく乗り越えられるのは、幅広い製品ラインアップを持っていることも一因です。また同社は複数のニッチな分野にまたがる強固な医療機器事業も展開しています。

3つ目は財務内容が極めて良好であることです。その証拠として、ジョンソン・エンド・ジョンソンは格付機関S&Pグローバルから信用格付けの最上位である「AAA」(トリプルA)を取得しています。同社が配当支払いなど、財務的な責任を果たせなくなる可能性は極めて低いといえるでしょう。

63年連続増配が支える安定力

たとえジョンソン・エンド・ジョンソンが特許訴訟の一部で敗訴したとしても、致命的な打撃にはならないでしょう。同社が訴訟を子会社に押し付け、その子会社を破産申請させようとした試みは、複数の裁判官によって退けられました。

逆風もありますが、ジョンソン・エンド・ジョンソンは不安定で変動の激しい現在の市場環境下において、魅力的な投資先といえます。なぜなら、同社株は安定した配当をもたらしながらポートフォリオを支えているからです。ジョンソン・エンド・ジョンソンは63年連続で増配してきました。さらに長期的には、特に配当を再投資する投資家に、優れたリターンを提供する可能性があります。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Prosper Junior Bakinyは、ジョンソン・エンド・ジョンソンの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンを推奨しています。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。