私の母方の祖父は若い頃は大酒飲みだったようですが、晩年は体を壊し、お酒も制限されていました。しかし親戚の中にあまり酒飲みがいなかったものですから、私がたまに田舎に行くとその時の晩酌だけは放免でした。孫と飲んで死んでも本望、などと叔母は言っておりました。まだ大学生のころ、楽しく祖父と二人きりで飲んでいていい塩梅に酔っぱらって来た時に、「叔母さん、ごはん下さい」と言うといきなり祖父にビックリするほど鋭い口調で怒られました。最初は訳が分からなくて当惑したのですが、祖父に言わせるとお酒もごはんも同じお米から出来ているので、一旦ごはんを食べると舌が甘くなってしまいもう酒の味が分からなくなるというのです。なるほど。以来お酒を飲んでいる間はごはん粒やそばなどを口にしなくなりました。たまにまだ飲んでいる間に焼きおにぎりなどを口にしたり、一旦食事をした後にまたお酒を飲んだりしてしまうと、今は亡き祖父に対してとっても恥ずかしい気持ちが起こります。滅多にそんなことしませんが。