2024年7月161円で円安から円高へトレンド転換の可能性

米ドル/円は2021年1月の101円から上昇トレンドが展開する中で、基本的に52週MAにサポートされる状況が続いてきた(図表1参照)。ところが、2024年7月の161円から下落に転じると52週MAを大きく、長く割り込んだ。その後トランプ米大統領「復活」を手掛かりに52週MA以上に反発したものの、最近にかけて再び52週MAを本格的に割れる動きとなった。

【図表1】米ドル/円と52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

このように、長くサポートされてきた52週MAを本格的に割れる動きとなったのは、2000年以降では2002年、2007年、2015年などに見られたが、いずれも下落トレンドへ転換した局面で起こった現象だった。これを参考にすると、2024年7月161円から最近にかけての米ドル/円の下落は一時的ではなく複数年続くトレンドとして展開している可能性が高いと考えられる。

クロス円の多くも2024年を境に円高へトレンド転換の可能性

同じことは、ユーロ/円など主要なクロス円についても指摘できそうだ。ユーロ/円と豪ドル/円は米ドル/円と同様に2024年7月をピークに下落に転じると、最近にかけて52週MAを大きく、長く割れる動きとなった(図表2、3参照)。

【図表2】ユーロ/円と52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
【図表3】豪ドル/円と52週MA(2008年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

代表的な高金利通貨であるメキシコペソ/円のみ、ピークを付けたタイミングが2024年5月と少し早かったが、その後52週MAを大きく割れる展開となっている点は同じだ(図表4参照)。以上のように見ると、米ドル/円だけでなく、多くのクロス円も2024年を境に上昇から下落、つまり円安から円高へトレンドが転換した可能性が高そうだ。

【図表4】メキシコペソ/円と52週MA(2010年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

「一時的円安」は52週MA前後までがせいぜい

ただし、円高トレンドが展開する中でも一時的にそれと逆行する円安が起こることはある。それは、経験的には52週MA前後までがせいぜいということになりそうだ。上昇(円安)トレンドが52週MAにサポートされたように、下落(円高)トレンドは逆に52週MAがレジスタンス役になる可能性が高いというわけだ。

最近でも、トランプ大統領の関税政策をきっかけにリスクオフで円高が大きく進む一方、その関税政策の一時停止などを受けて円安に大きく振れる場面が何度かあった。これが円高トレンドにおける、あくまで一時的な円安に過ぎないなら、それがどこまで、いつまで続くかを考える上では52週MAが参考になりそうだ。

その52週MAは、5月30日現在で米ドル/円が150.7円、ユーロ/円が162.7円、豪ドル/円が97.5円、メキシコペソ/円が7.6円。経験的には、一時的円安なら、この52週MAを5%以上と「大きく」、1ヶ月以上と「長く」上回らない程度にとどまるのが基本になりそうだ。