投資家らの間、特にFXトレーダーらの間で意識される「ジブリの呪い」。ウィキペディアにも存在する言葉で、日本テレビが放送する金曜ロードショーでスタジオジブリ作品が放映されると、決まってマーケットが荒れるという都市伝説的アノマリーです。話は単純で、金曜ロードショーは金曜21:00~始まる映画枠ですので、米国の雇用統計発表が重なることが多いというわけですが、今年の8月15日の金曜ロードショーでは約7年ぶりに「火垂るの墓」が放映されるそうです。

戦火の下、親を亡くした14歳の兄と4歳の妹の物語。妹節子の「兄ちゃん、なんでホタルすぐ死んでしまうん?」のシーンがあまりに有名です。この映画のタイトルは「火垂るの墓」。「蛍」ではなく「火垂る」です。火が垂れる。

火垂るの墓のポスターのギミックがSNSでも話題となっていましたが、ポスターを光調整して明るく加工し直してみると清太と節子の周りをふわふわと飛ぶ蛍は、戦闘機から降り注ぐ焼夷弾と重なっています。ホタルは死の象徴として描かれています。

ロシアとウクライナ、イスラエルとガザなど今も世界ではいくつもの戦争が進行中ですが、米トランプ政権は、2026年会計年度で国防予算を1兆119億ドル(約146兆円)要求すると発表しています。前年度から13%、1193億ドル(約17兆円)の増額です。

米国は日本へも防衛費の拡大を要求していますが、厳格な財政均衡ルールを厳守してきたドイツも先般、数十億ユーロの財政拡張を可能とする、「債務ブレーキ」を緩和する基本法改正案を承認、欧州は防衛力強化に動くことを決めています。世界の株式市場では軍需関連銘柄が湧いていますね。防衛力の強化で戦争の抑止力を高める、というのであればいいのですが、世界の安全保障環境の劇的な変化に不安を覚えるのは私だけではないと思います。