増加する凶悪犯罪、求められる自衛の意識

日本では「水と安全はタダ」と言われてきたように、諸外国と比べて社会の安全性がよく保たれている国でした。深夜にひとり歩きをすることができる国として、海外から観光で日本を訪れる人々もその点を高く評価しています。

ところがその日本で最近、従来にはない凶悪な犯罪が増えています。「トクリュウ」という警察用語がTVニュースでも頻繁に用いられるようになり世間を震え上がらせています。

「トクリュウ」とは「匿名・流動型犯罪グループ」のことです。特定の組織や集団ではなく、SNSや求人サイトを通じて実行犯を募集し、特殊詐欺や暴力事件を広い範囲で実行する犯罪集団です。

宅配業者を装って、住宅街の高齢の方の住まいに白昼堂々と侵入して、暴力を加えて現金や高額品を奪って逃走する、実に恐ろしい犯罪です。警察も厳戒態勢を取っていますが、犯罪者側はSNS上の「闇バイト」を通じて実行犯がその都度集められるため、捜査は容易ではありません。

凶悪犯罪に対して私たち国民はこれまで以上に自衛の意識を高めてゆくことが肝心です。物騒な世の中になったものですが、「水と安全はタダではない」という世界の常識に、ようやく日本人も目を向けるようになったということでしょう。

監視カメラをはじめとした防犯関連銘柄について考えてみます。

監視カメラ、警備システム…防犯関連4銘柄

あい ホールディングス(3076)

2007年にドッドウエルビー・エム・エスとグラフテックが経営統合して誕生。マンション向けの監視カメラシステムが主な製品だが、病院の診察券発行機や小型カッティングマシンにも強い。監視カメラシステムはマンションだけでなく、大手銀行、官公庁、商店街、小売店にも納入実績がある。マンション向け監視システムが好調で業績は安定。配当利回りも3%台後半と高い。

【図表1】あい ホールディングス(3076):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年11月14日時点)

キヤノン(7751)

デジタル一眼レフカメラ、プリンタとコピー機、ファックスが一体化したオフィス複合機では最大手。一眼レフ用交換レンズで培った世界有数の光学技術を応用して監視カメラ、ネットワークカメラにも強い。「監視カメラの目」となる画像センサーは、画素に入ってきた光の粒子を瞬時に変換。しかも100万倍に増倍するため、夜間の微量の光でも検出できる。カメラメーカーとしての蓄積が監視カメラにも生かされている。

【図表2】キヤノン(7751):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年11月14日時点)

JVCケンウッド(6632)

電機の名門、日本ビクターとケンウッドが経営統合して誕生。カーナビシステムなど再建を託された製品が頓挫し、一時は事業継続も危ぶまれたが、治安悪化が深刻な米国で無線トランシーバーが大ヒットとなり復活。同様に統合監視カメラシステムは全国の工場、オフィスビル、公共施設、学校、商業モール、鉄道、大学で広く用いられている。宮城県石巻市に設置された防災センターの災害用オペレーションシステムは同社が受注。「災害時の司令塔」の役割を担う。

【図表3】JVCケンウッド(6632):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年11月14日時点)

綜合警備保障(2331)

セコムに次いで国内の警備サービス会社第2位のALSOK。コンビニ設置のATMへの現金輸送など、法人向けの警備サービスを軸に成長してきたが、個人向けサービスを拡充。個人住宅向けの侵入監視、非常通報、ライフリズム監視、火災・ガス漏れ監視までをパッケージで提供。屋外での無線監視カメラや単身高齢者世帯の見守り監視も行う。最高益更新が視野に入る。

【図表4】綜合警備保障(2331):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年11月14日時点)