東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は、反落となりました。前日比515円安の38,136円で始まった日経平均は、寄付きをほぼ高値に、中東情勢の緊迫化などを背景に下げ幅を広げると、一時、心理的な節目である38,000円を割り込む場面もありました。前場はその後持ち直し、638円安の38,013円で引けました。

後場は635円安で始まるも、その後にイスラエルが数日内にイラン攻撃への対応を計画といったニュースが報じられると投資家心理の悪化を招き、引け間際に本日の安値である1,000円安の37,651円をつけ、最終的には843円安の37,808円で取引を終えました。

新興市場では、東証グロース市場250指数が反落、前日比3.2%下落しました。

2.個別銘柄等

中東情勢の緊迫化から、1日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場が大幅に上昇したことを背景に、資源開発大手のINPEX(1605)は一時、前日比5.4%高の2,077円を付けました。他にも、原油の販売価格上昇などを想起した買いが集まり、石油資源開発(1662)、出光興産(5019)、ENEOSホールディングス(5020)などの資源関連銘柄が上昇しました。

アップル[AAPL]が9月に発売した最新スマートフォン「iPhone16」の需要が弱い可能性が指摘され、日本の関連銘柄が下落しました。TDK(6762)は一時、前日比109.5円(5.6%)安の1,838円まで売られ、その他にも電子部品関連の日東電工(6988)や村田製作所(6981)などが下げています。

決算関連では、10月1日に2023年11月~2024年8月期の連結決算にて、純利益が前年同期比31%増の48億円と大幅増益となった象印マホービン(7965)が前日比153円(9.4%)高の1,780円を付け、年初来高値を更新しています。炊飯器などの調理家電の販売が好調で、第3四半期までの純利益の通期予想に対する進捗率は97%に達し、通期見通しの引き上げ期待が高まっています。

一方で、廃棄物処理大手のダイセキ(9793)は10月1日発表の2024年3~8月期の連結決算において、純利益が従来計画(12%減の42億円)を上回る、前年同期比2%増の48億円であったものの、一時、前日比4.3%安の3,600円まで下落しました。第1四半期実績から中間決算での利益の上振れは既に織り込まれており、第二四半期での減収減益と、通期業績予想も据え置かれたことから売りが優勢となりました。

その他、金属チタンメーカーである大阪チタニウムテクノロジーズ(5726)が、中東情勢の緊迫化を受け、防衛関連の一角として関心が高まり買いが集まりました。同社の手掛けるスポンジチタンは戦闘機やヘリコプター、戦車など防衛関連分野で用途が広いとされており、中期的な需要の高まりなどが意識され、一時、前日比10.8%高の2,816円まで上昇しました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は、中東情勢の緊迫化に伴い軟調に推移しました。一方で、資源や防衛関連銘柄に買いが集まるなど、思惑買いが多くみられました。

明日も同様にイスラエルを中心とした中東関連の動向に注目が集まりますが、今晩は、FRB(米連邦準備制度理事会)の複数名の総裁、理事の講演が予定されています。政策金利の利下げなど、ある程度織り込まれている中で、昨日のISM製造業景況感指数など景気減速懸念に関して、どういった発言がされるかに注目です。

明日は、15時ごろにキユーピー(2809)、クスリのアオキホールディングス(3549)などの決算が予定されています。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)