52週MAとの関係を点検する=米ドル/円と米金利
米ドル/円は先週一時151円台まで急落した。この間の高値である161円台からほぼ10円の下落となったわけだ。では1986年以来となる160円を大きく上回った歴史的円安は、あの161円でついに終わったのか(図表1参照)。
トレンド、継続的な動きか、それとも一時的な動きかを判断する上では52週MA(移動平均線)との関係を点検するという方法がある。経験的に、トレンドと逆行する一時的な動きは52週MA前後までがせいぜい。そして52週MAを本格的にブレークすると、すでにトレンドが転換した可能性が高まる。
52週MAは足下で150円程度なので、米ドル/円の下落が150円前後までにとどまるようなら、まだ歴史的円安は終わっておらず、あくまで一時的な円高に過ぎない可能性があるだろう。しかし、米ドル/円が150円を「大きく」、または「長く」下回るようなら、ついに歴史的円安は終了し、円高へトレンド転換した可能性が高くなるだろう(図表2参照)。
「大きく」とは5%以上、「長く」とは1ヶ月以上が目安だ。具体的には、150円を5%以上下回る水準は142円。または、米ドル/円が1ヶ月以上150円を下回る推移となることが円安から円高へのトレンド転換の目安と考えると、まだまだ気の長い話と言えそうだ。
そこで別のアプローチでも考えてみよう。米ドル/円は基本的には米金利や日米金利差の影響を受ける。その米金利の上昇トレンドが終わり、低下トレンドに転換したなら、それは米ドル高・円安から米ドル安・円高へのトレンド転換の前兆の可能性もありうるものだろう。
米長期金利、10年債利回りの52週MAは足下で4.32%なので、先週まで4週連続で下回ったことになる。しかも先週末は52週MAを3%近くと比較的大きく下回った(図表3参照)。このように米10年債利回りが52週MAを下回る状況がさらに続くようなら、少なくとも米10年債利回りは低下トレンドへ転換した可能性が高くなる。
仮に米金利が低下トレンドへ転換したなら、その影響を受ける米ドル/円も少なくとも上昇は限られる可能性が高くなるだろう。そうした観点から、すでに歴史的な円安が終了したかを見極める方法もありそうだ。