◆気になる投票の行方は? 英国の国民投票の話ではない。一昨日行われたAKB総選挙である。アイドルグループ、AKB48のシングル選抜メンバーを決める「AKB48  45thシングル選抜総選挙」の開票イベントが新潟で行われ、指原莉乃さんが選抜総選挙史上初の2年連続1位に輝いた。

◆AKB総選挙の優れているところは、「一発勝負」ではないという点である。投票期間は5月31日~6月17日と長期に及ぶが、投票初日の結果がすぐに「速報」として発表されるのだ。今年の総選挙、速報段階では渡辺麻友さんがトップだった。それが指原さんを応援する勢力の発奮材料となり、逆転劇を生んだとの見方がある。2014年の総選挙では反対に、速報段階で暫定1位だった指原さんを暫定2位の渡辺さんが逆転で破っている。

◆いまさら言っても遅いが、英国の国民投票もAKB総選挙の方式を真似るべきではなかったか? 本来ならば、メディアの世論調査が「速報」の役割を果たす。しかし、英国の調査機関の精度の低さは過去70年で最低と酷評されている。実際に今回の国民投票の優劣についても調査結果がばらばらで実勢がどうであるか把握できないことが混乱に拍車をかける一因になっている。

◆AKBを見習ったほうがいいのはわが国も同じ。たかがアイドルグループと侮ることなかれ。今回、1位に選ばれた指原さんが獲得した票数は24万3000票余り。昨日施行された改正公職選挙法で新たに有権者に加わった18、19歳は約240万人。その1割に相当する数だ。前回の参院選における20歳代の投票率は32%だった。おそらく18、19歳の投票率は20%台だろう。そう考えると指原さんの獲得した24万票は新しい有権者が投じる票の約半分に当たる。

◆参院選はいまひとつ盛り上がりに欠けたまま明後日22日に公示日を迎える。盛り上がらないのは争点見えないからだ。争点がないわけではない。消費増税先送りの是非、我が国の安全保障のあり方、その他重点政策への取り組み等々むしろ多くの対決軸がある。はっきり言って今回の参院選は与野党ともガチで(真剣に)戦う気がないように映る。結果がほぼ見えているからだろう。政党と政治家自身が半ば白けた状況では誰に投票したらいいかわからないのも無理はない。やはりAKBは時代の代弁者である。今回のAKB総選挙のキャッチコピーは、「僕たちは誰について行けばいい?」だった。