国内最大の自動車ショー、バラエティに富んだモビリティが一挙集結

日本自動車工業会(自工会)が主催する国内最大の自動車ショーである「ジャパンモビリティショー」が10月28日~11月5日の期間で開催されている。

開催は2019年以来、4年ぶり。前回までの「東京モーターショー」から名称を変更し、自動車に限らず幅広いモビリティ(移動手段)を展示している。出展企業団体は約480で、前回モーターショーの192社から大幅に増加している。

名称をモビリティショーとしたのは、存在感の低下が一因とされる。東京モーターショーの来場者数は1991年の約202万人をピークに下降し、2009年には約61万人へ激減していた。新しいクルマをみられることで集客できた時代ではなくなったことが挙げられる。

海外メーカーの傘下も減少傾向だ。また、電動化などでエレクトロニクス分野の真価が進んだことも要因だという。米のエレクトロニクス展示会「CES」でもEVなど自動車関連の展示も目立つ。

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今回の目玉企画は主催者プログラムの「トーキョー フューチャー ツアー」だ。未来の東京をテーマに、日本電信電話(NTT)(9432)やパナソニック ホールディングス(6752)などの異業種も参加。様々なモビリティが生活に対応するシーンや、災害対策などもテーマになっている。宇宙関連や、空飛ぶクルマの展示もある。もちろん、コンセプトカーの展示も充実している。海外メーカーも多く参加している。

トーキョー フューチャー ツアーでは、トヨタ自動車(7203)とJAXAが開発している月面での有人探査機「ルナクルーザー」の5分の1サイズモデルを展示している。2029年度に実際に月面探査を行う計画をしている。宇宙は環境が厳しいため、自動運転や災害での活用など、一般のクルマの性能向上にも貢献し、これまでのクルマ作りで培ってきたノウハウを活かす予定だ。

空飛ぶクルマでは米ジョビー・アビエーション[JOBY]が4人乗りの大型eVTOLを展示。ジョビー・アビエーションにはトヨタも出資しており、設計、素材や技術開発、さらにトヨタの生産方式のノウハウも提供しているとされる。

また、SkyDrive(スカイドライブ)は国産の空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」を展示。スカイドライブは2023年6月にスズキ(7269)と空飛ぶクルマの製造に向け基本合意している。スズキグループが静岡県内に保有する工場を活用し、2024年春頃の製造開始を目指している。

コンセプトカーでは日産自動車(7201)は次世代EVプレミアムミニバン「ハイパーツアラー」を展示。全固体電池を搭載しているとのこと。日産自動車は2028年に全固体電池を搭載したEVの市販化を目標にしており、これが第1号になる可能性もある。低重心でフラットなフロアが特徴的だ。

本田技研工業(ホンダ)(7267)は6人乗りの無人タクシー「クルーズ」を展示。ホンダは10月19日に無人運転タクシーを2026年初頭から東京都心で実用化すると発表している。都内を走るのはホンダや米ゼネラルモーターズ[GM]などと共同開発し、今回出品している「クルーズドラゴン」だ。配車や移動後の決済までスマホアプリで完結させるとのこと。

また、トヨタは高性能バッテリーEV「FT-Se」を世界初公開。「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」がコンセプト。空気抵抗を低減し、直感的な操作を可能にする次世代コックピットを採用したという。

いすゞ自動車(7202)はホンダと共同研究を進めている燃料電池(FCV)大型トラック「ギガフューエルセル」を一般向けに初公開。長距離走行や高積載量の大型トラックのカーボンニュートラル化では、一回の給電でEVより長距離を走ることができるFC技術が有効と考えている。航続距離は800キロメートル以上を実現しているという。2027年をめどに市場導入を予定していると報じられている。