短期的にも中長期的にも「上がり過ぎ」
メキシコペソ/円は今週に入り、新たな大台となる8円突破含みの動きとなってきた。2023年に入り、一時7円を大きく割り込む場面もあったが、そんな安値からの最大上昇率はすでに2割以上に達している。米ドル/円が安値127円から、これまでの最大上昇率は1割程度なので、メキシコペソ/円のそれは倍以上ということになる(図表1参照)。
ただ、さすがに急ピッチの上昇により、短期的には「上がり過ぎ」懸念も強くなってきたようだ。メキシコペソ/円の90日MA(移動平均線)かい離率は、今週に入り一時9%程度まで拡大した(図表2参照)。これは、短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなってきたことを示している。
メキシコペソ/円にとって気をつける必要がありそうなのは、米ドル/円の反落に「巻き込まれる」リスクだろう。上昇トレンドが続いてきたメキシコペソ/円だったが、その中で急反落となった2022年11月と2023年3月は、まさに米ドル/円の急落が起こったタイミングとほぼ一致していた(図表3参照)。米ドル/円の下落に連れると、メキシコペソ/円の場合は短期的な「上がり過ぎ」の反動も重なることで、米ドル/円以上に下落が拡大する可能性も要注意だろう。
また、メキシコペソ/円は5年MAかい離率が3割以上に拡大しており、中長期的には空前の「上がり過ぎ」領域での推移が続いているようだ(図表4参照)。このため短期的な「上がり過ぎ」の反動による一時的な下落にとどまらず、上昇トレンドの終わりも意識する状況が続いていると考えられる。ではそんな上昇トレンド終了はどのように見極めたら良いか。
今回のメキシコペソ/円の上昇トレンドは、2020年3月のいわゆる「コロナ・ショック」の急落の後から展開しており、すでに3年以上続いている。そんな上昇トレンドは、基本的に52週MAでサポートされてきた(図表5参照)。その意味では、上昇トレンドで見られなかった52週MAを大きく割り込む動きとなった場合は、トレンド自体が上昇から下落へ転換した可能性を意識する必要がありそうだ。