今回は外需関連株(外需株)について考えたいと思います。外需株とは、「輸出関連株」のことです。

経済学の外需とは海外における需要を指します。海外からの需要に基づいて、財やサービスを輸出することを意味します。国内総生産(GDP)は内需(国内の需要)と外需の合計で表され、輸出から輸入を差し引いた「純輸出」が外需になります。

例えば、近年注目されている「インバウンド消費」。この場合、日本を訪れる外国人観光客による日本国内での消費行動は、統計上「輸出」の一項目にカウントされます。つまり、これも「外需」とみなされます。

戦後、外需拡大した日本の貿易構造とその変遷

日本は「貿易立国」として外需の盛んな国と言われて久しいですが、日本の戦後経済の流れの中で今のような形が定着したのは最近のことです。

戦後復興が軌道に乗り始めた1950年代初期から高度成長期の1960年代前半まで、輸入が輸出を上回る「入超」の時期が長く続きました。貿易収支は赤字という時代です。

この経済構造が変化し始めるのが、1965年頃から1970年代にかけてのことです。輸出と輸入の金額が交互に増減するようになり、貿易収支は年ごとに赤字と黒字を繰り返しました。そのような時期を経て、1980年代以降に輸出が輸入を上回る貿易黒字が定着するようになります。

高度成長期の初期、総輸出額のトップを占めたのは繊維品(37.7%、1956年)でした。次の機械機器(21.2%)を大きく上回っています。この時期はまだ重工業が未発達な段階で、繊維品の他には雑貨品(缶詰、真珠、鯨油、玩具など)が日本の代表的な輸出品目でした。

所得倍増計画が進行する1961年頃に大きくこれが変化します。繊維品は27%に後退して、それに代わって機械機器(29%)がトップに登場するようになります。機械機器とは、当初は船舶を意味し、次いでラジオ、その後次第に自動車が台頭しました。

船舶は1950年代後半のころは輸出総額の10~12%を占める輸出品の花形でした。それが1960年代にはトランジスタ・ラジオが大量に輸出されるようになり、その後の時代の音響機器、映像機器というエレクトロニクス製品の先鞭をつけました。

1950年代中ごろは鉄鋼の輸出も盛んになり、1960~70年代にかけて、5年ごとに輸出量が倍増するという驚くべき高成長を遂げました。自動車の輸出も徐々に数量を増し、ここに至って戦後の日本は重化学工業中心の輸出立国に転換することができたのです。

輸出先国・地域のトップは中国と米国。2022年時点の輸出額は7515億ドル

2021年の日本からの輸出先国・地域は、トップが中国で金額は1641億ドル、全体に占める割合は21.6%にのぼります。次が米国の1353億ドルで、全体に占める割合は17.8%です。2ヶ国で輸出額全体の4割近くに達します。中国と米国の経済の動き次第で、日本の景気動向が大きく左右されるという構図が確立しています。

輸出先として、その次が台湾の546億ドル(7.2%)、さらに韓国の526億ドル(6.9%)、香港の355億ドル(4.7%)、タイの331億ドル(4.7%)、シンガポールの200億ドル(2.6%)と続きます。

製造業が生産拠点を多く構えるアジア諸国が、輸出先としての重要な位置を占めている点が近年の大きな特徴です。ドイツ(208億ドル、2.7%)、英国(103億ドル、1.4%)の欧州は、国の規模は大きいのですが地理的に離れていることもあり、輸出ウエートは比較的小さなものにとどまっています。

世界全体に向けた日本からの輸出額は7515億ドル(2022年)です。商品別の輸出品目のうち主な品目を挙げると、輸送用機器が1453億ドル(自動車990億ドル、自動車部品295億ドル)で輸出額全体の19.3%を占めています。

次いで一般機械の1448億ドル(原動機218億ドル、半導体製造装置311億ドル、建設機械129億ドル、ポンプ118億ドル)で全体の19.2%にのぼります。

第3位が電気機器で1327億ドル(半導体434億ドル、重電機器106億ドル、計測機器150億ドル)となり輸出総額の17.7%を占めます。

基礎素材では、化学製品906億ドル(プラスチック242億ドル、有機化合物170億ドル)、鉄鋼が363億ドル、非鉄が188億ドルとなっています。

外需関連株の御三家は「自動車」、「機械」、「電機機器」

統計データで見れば「外需株」、あるいは輸出関連株の御三家は「自動車」、「機械」、「電機機器」となります。3つのセクターで時価総額の合計は190兆円にものぼり、東証プライム市場の28%を占めています(2022年末)。

御三家に続くセクターは「化学」、「鉄鋼」です。これら5つのセクターを合わせると時価総額は237兆円に達し、東証プライム市場の35%にのぼります。その中で注目すべき銘柄は以下の通りです。

自動車(輸送用機器)セクターでは、世界最大の完成車メーカーのトヨタ自動車(7203)、EV戦略に大きく舵を切る本田技研工業(7267)、EVの先駆例として日産自動車(7201)、世界最大規模の部品メーカーのデンソー(6902)、が筆頭格に挙げられます。

電機機器セクターでは、ソニーグループ(6758)とキーエンス(6861)が双璧を成します。ソニーグループはメタバース時代の覇者になるポテンシャリティを秘めています。また、キーエンスは工場の自動車、省人化をリードする世界的企業です。

さらに半導体製造装置で世界第2位の東京エレクトロン(8035)、電子部品の世界トップである村田製作所(6981)、自動車向けマイコンで世界トップのルネサスエレクトロニクス(6723)、デジタルトランスフォーメーションの先導役の日立製作所(6501)など、数々の企業が存在感を増しているように見えます。

機械セクターでも、エアコンで世界トップのダイキン工業(6367)、建設機械、鉱山機械で世界第2位の小松製作所(6301)、半導体ダイシングソーで世界トップのディスコ(6146)、農業機械で世界第2位のクボタ(6326)など、この分野でも豪華な顔ぶれが並んでいます。

モノづくり国家・ニッポンを支えているこれらの外需系企業の株価が持続的に上昇することによって、株式市場も一段と活気づくことになるのでしょう。

輸出入に関わる決済は、機軸通貨である米ドルで行われることが通例となっています。したがって為替レートが「米ドル高・円安」に向かうと、米ドルから円に転換する際に円の手取り金額が増えるため、輸出国(企業)にとっては有利となります。

反対に為替レートが「米ドル安・円高」になると、円の手取り金額が減少することから輸出国(企業)には不利に働きます。このことから外需株(輸出関連企業)は米ドル高・円安時に株価が上昇し、反対に米ドル安・円高時に株価が下落しやすいという習性があります。


参考文献:「戦後日本資本主義」(1999年、中央大学経済研究所編)
     「貿易統計」(財務省)