今週からいよいよ新年度相場入りとなっていますが、4月4日の終値で大きなレンジの上限に接近して終えており、レンジの上限を突破して維持できるのかに注目が集まる状況となっています。

そのような中、売買判断に役立つように前回のコラムから新しいテクニカル指標を追加しました。さっそく、詳細について解説していきたいと思います。

モメンタムが0ラインを突破し、上昇の勢いが強まる

チャートは上下2段に分かれていますが、上段がこれまで通り、ローソク足と移動平均線になります。(今回は窓には印をつけていません)

下段は、2本線で書かれたものが前回のコラムから付け加えて表示しているモメンタムになります。

前回のコラムでは「2本線が0ラインを突破して維持できるかどうかが、25日移動平均線を突破するかどうかのカギになる」と解説しましたが、実際のモメンタムを見ると、上昇と下落の勢いの判断の分け目となる0ラインを上回ったところから、株価が一気に25日移動平均線を上回り、株価の上昇の勢いが強まるとともに、レンジの上限に接近して終えているのが分かります。

では、なぜモメンタムが0ラインを上回ると上昇の勢いが強まったと判断できるのでしょうか。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成

モメンタムの考え方は、身近なところで目にしている

モメンタムは勢いを表すテクニカル指標ですが、勢いを客観的に判断できるところが、このテクニカル指標の利点になります。また、勢いをどのように表すのか、ここが重要なポイントです。

株価の上昇や下落の勢いを判断するときに何を使って判断すれば良いでしょうか?また、判断基準はどのように決めれば良いのでしょうか?

ここで、身近なヒントとなる事例があります。それは、統計上使われているもので、新型コロナウイルスの感染者数の比較になります。

例えば、ニュースで当日と前週の同じ曜日を比較して感染者数が前の週を上回ったり、下回ったりした場合、上回っていると感染者数は増加傾向と考え、下回っていると減少傾向と考えると思います。

これを毎日繰り返し、曜日ごとに上回る人数が増え続けると、感染者数の増加の勢いが強まっていることになるのではないでしょうか。

一方で、曜日ごとに下回る人数が増えていくようですと、感染者数の減少の勢いが強まっていることになり、感染者数はそのうち0になるのではないかと考えるはずです。

これを株価に置き換えたものがモメンタムです。モメンタムでは一定の期間を使い、一般的に10日を使うことが多いようです。続いて、当日の終値と10日前の終値を比較して、当日の株価が10日前の株価よりも高いとその差分がプラスになります。

・式=当日の終値-10日前の終値=プラスの場合、上昇の勢い
(当日の株価が10日前の株価より低いとマイナスになります)
・式=当日の終値-10日前の終値=マイナスの場合、下落の勢い

このように、プラスになれば上昇の勢い、マイナスになれば下落の勢いと考えて、0ラインよりも上にあれば、上昇の勢い、0ラインよりも下にあれば下落の勢いと判断し、上値の抵抗を突破できるか、または押し返されてしまうのかなどの判断に役立てるわけです。

なお、モメンタムは1本だけでは上下に変動して分かりづらくなることがあるため、モメンタムの移動平均線であるシグナルと呼ばれる線も同時に表示すると、方向が分かりやすくなります。

モメンタムから見た判断基準とは?

モメンタムとシグナルの2本線を見ますと、0ラインよりも上に位置しており、さらに上昇しているのが分かります。このまま2本線の上昇が続くかが、大きなレンジを突破できるかどうかのカギになります。

また、モメンタムの水準にも注目する必要があります。なぜなら、2本線の上昇が一定の水準で止まってピークアウトすると、株価も天井をつけて反落しているためです。
4月4日現在のモメンタムを見るとピークに差し掛かっており、警戒が必要な水準だと言えそうです。

今週は2本線の上昇が続けばレンジの上限を超えると考えられる反面、ピークアウトして下向きに変化するようですと、上昇の勢いが弱くなって反落することが考えられます。

買いポジションを持っている投資家は損失の発生や拡大に注意が必要になると思われますので、モメンタムとシグナルの動きに注意し、売買判断に役立てたいところです。