レンジ内で方向感のない値動きが続く

月日が経つのは早いもので、今週で3月も終わりとなります。また、年度末と言うこともあり、企業業績などを締める重要なタイミングです。

そのような中、このコラムの窓についての解説も今回が最終回になります。これまで窓について色々解説してきましたが、まずはいつものように先週を振り返るとともに、今後の動向について考えてみたいと思います。

先週(3月22日~28日)は久しぶりに窓が発生しませんでした。窓が発生していないということは、価格が飛ぶような激しい値動きがなかった、ということになります。

また、3月28日の終値では、上向きの5日移動平均線と下向きの25日移動平均線の間に挟まれた状態で終えており、方向感のない値動きとなっているのが分かります。

さらに大きなレンジの中で推移するとともに、3月28日の終値を基準に上下に窓があいたままとなっています。このような状況から、今後もこれら上下の窓を埋める値動きが発生すると思われますが、トレンドが発生するためには、25日移動平均線と5日移動平均線のどちらかをブレイクする必要があります。

仮に25日移動平均線をブレイクして維持するようですと、レンジの上限に接近するとともにレンジの上限に近い窓を埋めることが視野に入りそうです。

一方、5日移動平均線をブレイクするようですと、その下にある200日移動平均線も下回り、1月に発生した窓を埋めるのではないかと思われます。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓

このように、移動平均線をブレイクするかがトレンド発生の条件となるわけですが、今回は25日移動平均線と5日移動平均線のどちらがブレイクするのか、その判断に役立つ新しいテクニカル指標を追加して今後の値動きについて考えたいと思います。

その新しい指標とは、モメンタムと呼ばれるテクニカル指標です。

新しいテクニカル指標、モメンタムを加えた分析

モメンタムとは「勢い」示す指標です。何の勢いかと言うと、上昇や下落の勢いになります。したがってモメンタムをローソク足チャートに追加してみると、上昇や下落の勢いを判断するのに活用できるわけです。

実際のモメンタムが、上記図表のチャート最下段にある2本線で表示されたものになります。一般的には1本で書かれていることが多いですが、ここでは2本線が表示されています。

なぜ2本の線を表示しているかの理由については、今後詳しく解説していきますが、ここでは基礎的な見方を紹介します。

モメンタムは上昇と下落の勢いを教えてくれるテクニカル指標だと解説しましたが、どこでその勢いを判断するかと言いますと、チャートに示されている0ラインで判断します。

この0ラインが上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となります。0ラインよりも2本線が上にあれば上昇の勢いが強いことになり、逆に0ラインよりも下にあれば下落の勢いが強いことになり、0ラインが勢いを判断する分かれ目となるのです。

3月28日までのモメンタムは、上向きに変化しているものの0ラインに届いていないことから、上昇の勢いが強いとは言えない状況です。

そのため、2本線が0ラインを突破して維持できるかどうかが、25日移動平均線を突破するかどうかのカギになると考えられるのです。

仮に2本線が0ラインを突破して上昇を続けるようですと、25日移動平均線を上回って株価水準が切り上がり、レンジの上限に接近するとともに窓を埋めることが視野に入る反面、2本線が0ラインを上回っても直ぐに下向きに変化したり、下向きに変化したあと低下が続いたりするようですと、5日移動平均線をブレイクして200日移動平均線も下回ることが考えられ、買いポジションを持っている投資家は注意が必要になると思われます。

このように、モメンタムを追加することによって、移動平均線などの抵抗やサポートをブレイクする勢いがあるのかどうかを判断することができます。

次回以降、このモメンタムについて詳しく解説していきます。