東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて続伸となりました。161円高の28,203円でスタートした日経平均は取引開始から30分余りで217円高の28,258円まで上昇し高値を付けた後伸び悩むと11時10分前に79円高の28,120円まで上げ幅を縮める場面もありました。しかし、その後12時40分前に179円高の28,221円を付けるなど上げ幅を再び三桁に広げ堅調に推移すると結局146円高の28,188円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国で構成される「OPECプラス」に参加する主要産油国が追加減産を決めたと伝わったことで原油先物価格が時間外取引で大きく上げたことから石油関連株が買われました。INPEX(1605)が5.5%高、石油資源開発(1662)が4.6%高、コスモエネルギーホールディングス(5021)が6.7%高、出光興産(5019)が3.4%高、ENEOSホールディングス(5020)も3.2%高となり、コスモエネルギーホールディングスは年初来高値を更新しています。
メルカリ(4385)も3.7%高となりました。海外への配送などを代行する業者を通じトレーディングカードといった希少品を買う動きが広がっていることなどからメルカリの海外利用者数が2023年2月に前年同月比約3倍に増えたと伝わったことを材料視した買いが入りました。
一方で米国がスーパーコンピューターや人工知能(AI)に使う先端半導体の製造装置などで中国向けの輸出を厳しく制限したのに足並みをそろえ、日本政府が先端半導体の製造装置など23品目を輸出管理の規制対象に加えると発表したことを警戒した売りが出て半導体製造装置関連株が軟調でした。東京エレクトロン(8035)が一時2.7%安、レーザーテック(6920)が一時2.6%安、SCREENホールディングス(7735)が一時3.2%安、ディスコ(6146)が一時4.5%安、アドバンテスト(6857)も4.3%安となりました。商船三井(9104)も一時3.8%安となりました。3月31日に発表した2036年3月期までの経営計画で現在25%の配当性向を引き上げたものの30%に止まったことで失望売りが出ました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は146円高となりました。寄り付き前に発表となった3月の日銀短観で大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス1と前回調査から悪化し市場予想も下回りました。しかし、2月の米個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想を下回り伸びが前月から鈍化したことでインフレ懸念が後退し先週末の米国市場が続伸となったことで買いが優勢となりました。そのため2023年度は幸先のよいスタートを切ったといえますが、買い一巡後に伸び悩んだことから上値の重さがやや意識されそうです。
なお、小売り企業を中心とした2月決算企業の本決算発表が今週からスタートします。本日も引け後にはあさひ(3333)やしまむら(8227)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の23時には3月の米ISM製造業景況感指数の発表が予定されています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)