東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反落となりました。432円安の26,796円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで596円安の26,632円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すと10時10分前に171円安の27,057円まで持ち直しました。しかし、節目の27,000円を小幅に上回ったとことで上値が押さえられるとやや下げ幅を広げ255円安の26,974円で前場を終えました。301円安の26,927円でスタートした後場の日経平均は12時50分前に344円安の26,884円まで下落しましたが、その後持ち直し27,000円近辺で推移すると結局218円安の27,010円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

パーク24(4666)が一時7.0%高となりました。個人旅行や法人出張の需要が回復しカーシェアの利用が伸びたことや、国内駐車場事業も堅調に推移したことで第1四半期の営業利益が前年同期比で81%近い増益となったことで買いが優勢となりました。エイチ・アイ・エス(9603)も一時4.9%高となりました。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ旅行需要が本格的に回復していないことで第1四半期の営業損益は34億円を超す赤字となりましたが、政府の観光促進策などが追い風となり121億円を超す赤字となった前年同期から赤字幅が大きく縮小したことで上げ幅を広げる場面がありました。人材派遣のキャリアリンク(6070)も11.9%高となりました。新規受注が想定以上に好調だったうえ、既存案件で人材派遣の増員や契約期間の延長があったことなどから通期の営業利益の見通しを64億円弱から78億円余りまで上方修正したことで買いを集めました。

一方で金融システム不安が改めて高まったことで大手銀行株が安く、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が一時6.6%安、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が一時7.5%安、みずほフィナンシャルグループ(8411)が一時8.4%安、三井住友トラスト・ホールディングス(8309)が一時9.2%安、りそなホールディングス(8308)も一時7.4%安となりました。また、米長期金利の低下や投資判断と目標株価の引き下げを受けて第一生命ホールディングス(8750)とT&Dホールディングス(8795)が安く、第一生命ホールディングスが6.2%安、T&Dホールディングスも5.4%安となりました。さらに原油先物価格の下落を受けてINPEX(1605)や石油資源開発(1662)も安く、INPEXが4.4%安、石油資源開発も3.6%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は218円安となりました。米シリコンバレーバンクや米シグネチャー・バンク(SBNY)の経営破綻で始まった金融システム不安が、スイスの金融大手のクレディ・スイス・グループの経営不安で欧州にも波及したことで売りが優勢となりました。こうしたなかで一昨日に200日移動平均線を下回ったのに続き、本日は一目均衡表の雲の下限(27,082円)を割り込みました。そのため下値への警戒感が一段と高まりそうすが、クレディ・スイス・グループがスイス国立銀行から最大で約500億スイスフラン(約7兆円)を借り入れるオプションを行使する方針だと発表したことで下げ渋り節目の27,000円を引けで何とか維持しただけに明日以降の反転に期待したいところです。

なお、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の米住宅着工件数、2月の米輸出入物価指数などが発表されるほか、22時15分には欧州中央銀行(ECB)理事会の結果が発表される予定です。ECB理事会では金融システム不安への警戒感が高まっていることで利上げ幅が前回の0.5%から0.25%に引き下げられるとの観測が出るなどマーケットでの見方が分かれていることから結果が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)