東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は4日ぶりに反発となりました。126円高の27,711円で寄り付いた日経平均は直後に24円高の27,609円を付けましたが、マイナスになることなく踏み止まると上げ幅を広げ取引開始から1時間半余りで229円高の27,814円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと上げ幅を縮め138円高の27,722円で前場を終えました。104円高の27,688円でスタートした後場の日経平均は14時20分に28円高の27,612円まで上げ幅を縮めた後やや持ち直すと結局86円高の27,670円で取引を終えています。一方で新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
第3四半期決算を発表し通期の業績予想を上方修正した東京エレクトロン(8035)や神戸製鋼所(5406)が大幅高となりました。東京エレクトロンは米国による対中規制の影響が想定より小さく半導体製造装置の販売が上振れすることなどから通期の営業利益の見通しを5460億円から5800億円に引き上げたことや、約26年ぶりの株式分割を発表したこともあり4.3%高となりました。神戸製鋼所も値上げの浸透などで鋼材のマージン(利ざや)が改善することなどから通期の営業利益を550億円から670億円に上方修正したことで15.0%上昇しストップ高となり昨年来高値を更新しました。日本製鉄(5401)も4.5%高となり昨年来高値を更新しました。構造改革でコストの改善を進めるなか値上げの浸透で第3四半期の事業利益が前年同期比2.4%増と増益を確保したことから大幅高となりました。ルネサスエレクトロニクス(6723)も14.7%高となり昨年来高値を更新しました。自動車1台あたりの半導体搭載額の増加などを追い風に販売が伸びたことに加え、産業用途向けの旺盛な需要を取り込んだこともあり2022年12月期の営業利益が前期比2.4倍となったことや、自社株買いを発表したこともあり買いを集めました。一方で第3四半期決算を発表した三菱地所(8802)が3.8%安となりました。海外事業で売却物件の引き渡しに遅れが生じているうえ、投資マネジメント事業で不動産価格の下落に伴いインセンティブフィーが減少していることなどから通期の経常利益の見通しを2710億円から2670億円に下方修正したことで売りが膨らみました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は86円高となりました。ドル円が131円台で推移し円安基調が続いていることから買いが優勢となりました。一時は230円近く上昇しましたが、買い一巡後に伸び悩むと上げ幅を縮めました。しかし、昨日の米国市場でダウ平均が250ドル近く下げたにも関わらず反発したことで地合いの堅調さが改めて意識されそうです。そのため節目の28,000円回復への期待も高まりそうですが、来週は14日に1月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えていることから前半は上値を追う動きも限定的となりそうです。なお、決算発表が続いています。本日も引け後にはホンダ(7267)やオリンパス(7733)、三井不動産(8801)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の11日午前0時には2月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)