2035年までに電動化率100%が目標。EV普及により自動車産業の発展を目指す
日本国内で、電気自動車(EV)の普及に弾みがつく可能性が出てきている。政府は小型の電気自動車(EV)向けに数分で充電できる高出力充電器の普及に乗り出す、と1月4日付の日本経済新聞に報じられた。充電設備の設置や取り扱いに関する規制緩和が後押しになりそうで、EV充電機器を展開している企業にとってはビジネスチャンスとなるだろう。
日本は充電インフラの遅れがEV普及の壁になっているとされてきた。報道によれば、2022年11月の新車販売に占めるEV比率は中国25%、ドイツ20%、韓国9%に対し、日本は2%止まり。
税制優遇や購入補助が手厚いにも関わらず、普及しないのは町中にあるEVスタンドの数の少なさが大きな要因と言われている。そのため、政府は2035年までに乗用車新車販売で電動化率100%を目標にしている。
大手調査機関によれば、急速充電器の設置基数は0.8万台で、これはEV43台に1基という現状で、圧倒的に不足している。
政府は2023年にも、素早く充電できるインフラ整備のため規制を緩和すると報じられている。ポイントは200キロワット(kw)超の大容量の充電器も一定の安全性が確保できると判断し、扱いを50kw超と同じにするという。
現状、200kw超の充電器は「変電設備」扱いとなり、設置には厳しい規制がある。そのため、規制を所管する消防庁が、2023年中の関係省令の改正を目指すとしている。
改正後は200kw超の充電器も、50kw超~200kwまでのものと同等の扱いになる。規制が緩和されれば、充電時間が数分間で「満タン」になる充電器が登場するだろう。
家庭用充電器の普及も含め、EVのインフラ整備が加速
EVの普及には急速充電器だけでなく、家庭用の充電器の普及や性能向上も欠かせない。現在、家庭用で使われるEV充電器の主流は3kw。これは10年前の補助金を活用して設置されたものが大半である。この間にEVの性能やバッテリー容量が飛躍的に進化しているため、3kwでは容量も充電スピードも不足しているのが現状だ。
携帯電話に例えると、現在の端末は4G、5Gなのに対して、いまだに3Gで通信しているような状態と言える。
エネルギープラットフォームを展開するENECHANGEによれば、日産リーフの60kWhのバッテリーなら、3kwの充電器でフル充電するには単純計算で20時間が必要で、50%を充電するにも10時間かかかるとのこと。倍の6kwならば出力が2倍で、単純に充電時間が半分になるため、日産リーフなら10時間でフル充電ができる。
岸田政権は2022年度の補正予算で、EVの購入に加え、EVのインフラ整備を支援する補助金を大幅に拡大している。EV車両の購入補助に700億円、充電設備などのインフラ導入促進に200億円を計上すると発表している。
今後はEVスタンドだけでなく、設置が遅れているマンションなど家庭用のEV充電設備の普及も進む見通しにある。6kwタイプが増えれば、EV購入の動機になる可能性が高い。そこでEV充電器に関連する銘柄をピックアップした。
東光高岳(6617)
EV用充電インフラを手掛ける。急速充電器は120kw、50kw、30kwなどシリーズでラインナップ。いずれもCHAdeMO規格に準拠しており、EV用パワーコンディショナにも展開している。
ニチコン(6996)
EV・PHV用100kw急速充電器を手掛ける。2口同時に最適な充電が可能で、1口最大90kwでスピード充電ができる。また、最適制御で2口同時使用でも快適に使用できる。充電開始時に大電力で充電(ブースト機能)、ワイドカラー画面搭載、設置面積0.28平方メートルのコンパクト設計が特徴。
シンフォニアテクノロジー(6507)
電源部と充電部が分かれているセパレート型の急速充電器を展開。2台の充電スタンドにより連続的に充電できる。セパレート型なので、設置条件に合わせた最適配置を可能としている。
ENECHANGE(4169)
EV充電エネチェンジは、企業側によると設置台数首位。より性能の高い6kw出力を軸に展開している。一般家庭での充電時間が半分になるという。欧州では6kwが主流。2022年11月に楽天トラベルとの提携を発表。全国のホテルや旅館に設置を進める方針。
ENEOSホールディングス(5020)
2022年11月に新しいEV充電サービスである「ENEOS Charge Plus」を開始。基本料金は不要で、使った分だけを支払う仕組み。急速充電器は簡単なタッチパネル操作で、ストレスフリーに充電が可能となっている。
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