今週(12月16日~12月22日)の相場動向

相場回顧 BTC:日銀サプライズによってボラティリティが高まる

ビットコインは景気後退懸念の高まりによって米国株が大きく下落するなか軟調な推移となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)に続いて欧州中央銀行(ECB)理事会においても利上げ幅は縮小したが利上げ継続への強い姿勢が示された。

監査法人のマザーグループが暗号資産関連企業への監査サービスを停止したことで、同社顧客である大手暗号資取引所バイナンスへの懸念が強まりBTC=224万円(17,000ドル)を割り込んだ。ソラナ関連プロジェクトで数億円規模の資産流出事件も起こった。その後は、SBF氏の米国への身柄引き渡しが合意され、FTXグループ破綻騒動に進展がみられたこともあり、もみ合いとなった。

12月19日には米長期金利の上昇を受けて米国株とともに下落した。またイーロン・マスク氏のツイッターCEO辞任を巡ってドージコイン【DOGE】が大きく売られるなかBTC=218万円(16,500ドル)付近まで価格を下げた。しかし、日本銀行がイールドカーブ・コントロール下での長期金利の許容変動幅を0.5%に拡大し、米ドル/円が急落すると、ドル指数の低下とともに反発した。米消費者信頼感指数の改善などを好感して一時はBTC=224万円(17,000ドル)を回復したが、マイニング企業の破綻も報じられるなか上値は重くなった。

 

来週(12月23日~12月29日)の相場予想

BTCは年末にかけてのボラティリティに警戒、年末商戦も期待薄か

いよいよ2022年最後の週を迎える。金融市場ではクリスマスや年末休暇が重なり薄商いとなることが予想されるが、日銀サプライズを受けて不透明感が強まっており、節税売りと合わせてボラティリティが高まる恐れがある。年末商戦を期待する声もあるが、2022年は景気後退懸念が意識されるなかで消費が控えられるとの見方もあり、方向感に乏しい展開を予想する。2023年前半にかけては欧米を中心に利上げが継続する見通しで、積極的な買いには動きづらいだろう。

暗号資産市場ではSBF氏が米国へ送還され、その後の動きに注目が集まっている。アラメダ・リサーチの元CEOらは不正関与を認めており、今後の捜査によってSBF氏の悪事が暴かれることになる。また、FTXグループは破産手続きにおいて日本法人を含む4事業を売却する方針となっており、これらの買い手が現れるのかについても注目である。同グループ破綻の影響はバイナンスに対する信用不安をはじめ潜在的に続いているが、まずは事件の真相が明らかにならないことには投資家の買いも戻ってこないだろう。暗号資産は年末年始関係なしに取引可能なため、流動性が低下するなかでの思惑的な売買には警戒が必要である。

直近上値としてBTC=238万円(18,000ドル)、下値としてBTC=211万円(16,000ドル)を意識する。

※1ドル=132.00円で換算(執筆時)