東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて3日ぶりに反落となりました。165円安の27,991円でスタートした日経平均は寄り付きをほぼ安値に下げ幅を縮めるとプラスに転じ9時40分に6円高の28,163円を付けましたが、昨日の終値をわずかに上回ったところで伸び悩むと再びマイナスとなり74円安の28,081円で前場を終えました。86円安の28,069円でスタートした後場の日経平均は12時50分過ぎに68円安の28,087円を付けた後下げ幅を広げたものの節目の28,000円を小幅に上回って推移すると結局104円安の28,051円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

自民党税制調査会が幹部会合で防衛費増額の財源として法人税を2027年度時点で4-4.5%上げる案をまとめたと伝わったことで財源確保に向け前進したとの見方から防衛関連銘柄が買われました。三菱重工業(7011)が4.1%高、川崎重工業(7012)が5.0%高、IHI(7013)も3.0%高となり、三菱重工業と川崎重工業が年初来高値を更新しています。DMG森精機(6141)も4.1%高となりました。2025年12月期に売上高6000億円、営業利益720億円を目指す中期経営計画を好感した買いが入りました。

本決算を発表したクミアイ化学工業(4996)も10.9%高となりました。穀物市況が堅調で海外向けに伸びている主要穀物用の除草剤の「アクシーブ」のさらなる販売拡大が見込まれることから2023年10月期の営業利益が前期比で14.4%増となる見通しを発表したことで買いを集めました。ユーグレナ(2931)も10.4%高となりました。マレーシア国営石油大手企業とイタリア石油・ガス大手企業の3社でマレーシアにバイオ燃料製造プラントをつくる検討を始めたと発表したことを材料視した買いが入りました。

一方で上期決算を発表したネット通販向けシステム開発のHamee(3134)が一時17.7%下落しストップ安となる場面がありました。スマホ向けアクセサリーのコマース事業で新型iPhone向けの需要が想定より伸び悩んだことなどで通期の業績予想を下方修正したことから売りが膨らみ年初来安値を更新しています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は104円安となりました。米連邦公開市場委員会(FOMC)で2023年末の政策金利の見通しが市場予想を上回る水準に切り上げられたことで昨日の米国市場が反落となったことから売りが優勢となりました。

しかし、節目の28,000円を下回ってスタートしましたが25日移動平均線(27,971円)をサポートに下げ渋ると重要イベントを通過した安心感もあり持ち直し28,000円を上回って取引を終えました。そのため三桁の下げとなったものの底堅かったといえそうで、年末株高を期待する見方も出てきそうです。

なお、日本時間の21時に英中銀が金融政策委員会の結果を発表するほか、22時15分には欧州中央銀行(ECB)理事会の結果が発表される予定です。また、22時30分には米新規失業保険申請件数と12月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数、12月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の米小売売上高が発表されるうえ、23時15分には11月の米鉱工業生産指数と設備稼働率が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)