みなさん、こんにちは。日経平均株価は10月を底に順調に上昇基調を辿っています。直近はこれまでのボックス圏の上限に張り付いた状況にあり、この上限の突破に向けて日柄調整が進んでいるというところなのでしょう。
今や観光地はかなりの人出となっており、先行きの不透明感はあるものの、ひとまずはようやく経済が回り始めたというところでしょうか。為替水準が落ち着きを見せてきたことも、実体経済(特に、企業経営において)には追い風となるはずです。引き続き、これまでの悲観的観測の巻き戻し定着を試す展開になると私は見ています。
先行き不透明な景気情勢、内需株に注目高まる
そのような観点から、今回は「内需株」をテーマに採り上げてみましょう。欧州や中国では景気の減速がかなり鮮明となってきており、米国においても急激な金利の上昇で景気の先行きは不透明感が増しています。
外需企業には円安という追い風があるものの、肝心の現地需要が後退してしまえば享受できるメリットも減殺されてしまいます。このようなことを背景に、世界の景気情勢の影響を受け難い内需株に注目してみようという狙いです。
実際、IMF(国際通貨基金)による、直近の2023年世界経済見通しではG7各国・地域において日本は最も高い成長が見込まれています。2022年との比較では軒並み減速とはなるものの、日本はその中では最も減速幅が小さく、「比較的安定した」経済成長が予想されているのです。
やや消去法的な発想ですが、その都度、最も成長している分野への投資を考えるのは当然と考えます。
内需株好調の背景は、景気リスクの小さい日本への期待から
既に株式市場は、そのような見通しを織り込み始めているようにも思えます。日経平均構成銘柄から国内売上高比率の高い50銘柄で構成される「日経平均内需株50指数」は、2022年に入って右上がりで推移し、実に13%の上昇を演じています。
日経平均株価が最近の上昇でようやく年初とほぼ同じレベルにまで戻ってきたことと比較すれば、かなり良好なパフォーマンスにあると言えるでしょう。内需株の好調は、2022年前半はポストコロナ下での活動水準回復が牽引役になったものと考えますが、直近は世界的にも堅調な内需への再評価が始まってきたのではないかと想像します。
この見方は外国人投資家こそ深刻なものとなるはずです。グローバルに投資資産を展開させている彼らからすれば、今や日本は世界で最も景気リスクの小さい地域と位置付けることができます。まだしばらくは、そのような見方に基づいた株価展開が継続するのではと期待するのです。
リスクシナリオの検証も必要
ただし、これには日本の景気減速が他の先進国に比べて、「予想通りに」軽微にとどまるということが大前提となります。日本も欧米諸国並みの景気減速になりそうとの観測が台頭してくれば、その前の期待の反動もあってネガティブサプライズとなり、一気に売りが集中するという可能性は否めません。
日本景気が底堅いとされる一因として、欧米ほどの物価上昇に見舞われていないという見方もありますが、これも「現時点においては」との但し書きが付きます。コモディティ市況の上昇に円安が拍車をかける「円建て」輸入コストの増大は、むしろこれからが本格化してくるとの観測もあります。
しかも、日本では賃金上昇ピッチが欧米よりも鈍いため、物価上昇は鈍くとも消費者の実質購買力はデータで見るよりも、今後落ち込んでくるリスクもあるでしょう。内需株への注目は今後も続くのでしょうが、上記のようなリスクシナリオを都度検証しつつ、地歩を固めながらの展開になると予想します。世界的に景気減速懸念が広がる中、内需株という選択は消去法的なものであることを忘れてはいけないと考えます。
内需株の種類や特徴とは
ちなみに一般的に内需株とは、不動産や建設、小売り、公益、通信、金融といった企業群の株式のことを差します。いずれも国内がビジネスの主戦場であり、国内経済の影響を強く受ける性格を有します。もちろん、上記の産業においてもグローバル展開している企業も多数ありますから、それらは内需株の範疇には含まれないことをご留意ください。
また、産業別に見ると不動産といった典型的な景気連動型産業から公益(電力・ガス)といった、ややディフェンシブ色の濃い産業まで包括されています。
実際に投資を判断する際には、まず内需株という大枠を決めたとしても、より景気連動型の企業を選択するのか、ディフェンシブな選択を行うのかなど、個別銘柄選定には相応の時間と労力をかける必要があることは言うまでもありません。「内需株」という括りの中でも、株価の動きが相反する性格の銘柄が含まれていることは要注意と言えるでしょう。