今週は月末月初をまたぐ週とあって主要指標の発表が目白押し。29日には日本で10月の失業率・有効求人倍率、米国ではケース・シラー住宅価格指数、カンファレンスボード消費者信頼感指数、30日には日本の10月鉱工業生産、中国の11月製造業・非製造業PMI、米国では11月のADP雇用統計、10月の雇用動態調査(JOLTS)、ベージュブックが発表される。12月に入ると1日には日本の7-9月期法人企業統計、中国では11月財新製造業PMI、米では10月の個人消費支出(PCE)・個人所得・PCEコアデフレータ、11月のISM製造業景気指数、そして週末2日には米国の11月雇用統計と続く。
中でも注目はISM製造業景気指数と米国雇用統計だ。前回10月分のISM製造業景気指数は50.2と、景気の拡大・縮小の境目である50割れ目前まで低下した。今回11月は49.8と50割れが見込まれている。市場予想通りとなれば長期金利の一段の低下を通じて株価への追い風となるだろう。12月2日発表の11月雇用統計は失業率が3.7%、非農業部門雇用者数(NFP)は前月比20万人程度の増加が見込まれている。NFPはぶれやすいので波乱に注意したい。平均時給の伸びも確認したい。11月分は前年比で4.6%と10月実績の4.7%を下回る見通しだ。予想通りであれば、インフレのピークアウト感が強まるだろう。
重要イベントとしてはFRBのパウエル議長の講演がある。パウエル議長は30日にブルッキングス研究所主催のイベントに参加する予定。タカ派的な姿勢を維持するか注目される。
こうした外部環境のなか、日本株相場は強さが目立ってきた。先週、TOPIXは一時「2020」まで上昇し、8月高値を払って1月に付けた年初来高値「2039」が視野に入ってきた。25日には東証規模別の小型株価指数が8日続伸。「3567.90」をつけ、約1年ぶりの高値となった。TOPIXバリュー指数は22日、2018年2月以来4年9カ月ぶりの高値をつけた。配当利回りの高い銘柄で構成される東証配当フォーカス100指数は一時最高値を超えた。日経平均だけみていると、なかなか上値が重いように感じられるが、バリュー株やその対極とも言える小型グロースなどが買われ、市場全体の動きを表すTOPIXは高値圏にある。
この背景には外国人の買い越しがあると思われる。東京証券取引所が発表した11月第3週の投資部門別売買動向によると、海外投資家は4週ぶりに売り越したものの、売越額はわずか169億円とほぼ中立だ。その前の週まで3週連続で買い越しており、買い越しの累計額は1兆円近くにのぼる。先週の相場の堅調さから考えて、おそらく11月第4週は再び買い越しに転じていたものと思われる。例年、海外投資家は秋から年明け2月ごろまで日本株を買い越す傾向がある。この季節性に従えば、日本株はここから年末にかけて高値を追う展開が予想される。
さらに今週は3月期決算企業の中間配当の支払いがピークに達する。この配当金再投資効果が相場の下支え要因となり、底堅い推移が予想される。米国の感謝祭の祝日も終わり、いよいよこれから年末相場が本格化する。年末の株高という季節性アノマリー通りに、上昇基調が強まっていくことを期待したい。
今週の日経平均の予想レンジは2万7800~2万8900円とする。