セレンディピティ(Serendipity)とは、偶然と洞察力によって次々と新しい発見をする「The Three Princes of Serendip」というペルシャの童話を元に、イギリスの或る作家が18世紀に手紙の中に書いた造語だそうです。昨日は正にセレンディピティの存在を感じさせる晩でした。

凡そ10年ぶりに、中1からの同級生であるH君とサシで飲みに行きました。飲み終わって、H君の方からもう一杯飲みに行こうぜ、となり、店を出て河岸を変えずにその街を当てもなくちょっと歩いていると、H君が「Eって店がこの辺りにあったな」と云い出しました。しかし周りを見ても見付けられずにいると、通りに立って電話をしようとしていたオジサンが、「Eならこのビルの2階ですよ」とすぐ目の前を指さしてくれて、おぉ、とそこに入りました。

お店はひとりだけお客さんがいましたが、静かでガラガラ。そこでホントに一杯のつもりでひとつ頼んで飲み始めると、ドアが開きました。なんと!やはり中1からの同級生のO君です。おわー!なんだー!と云うと、O君のうしろには若い女性がいました。O君曰わく、なんでおおきがここにいるんだよ?!これはビックリだ、と云うので、女の子と一緒にいるのを見られて困ったのかと思ったらそうではありませんでした。

実はO君は後輩の娘さんの就職祝いを、コロナ等でちょっと遅れて今日やっており、その二次会でちょっと寄ったのでした。そしてその後輩と云うのが、私が高3の時に、中1チーフとして運動会騎馬戦の訓練をした中1のK君だったのです。なんてこった。こんなことが起こるのか。ガラガラだった店は次から次にお客さんが来て瞬く間に満員に。そして本当に久し振りに、K君とも電話で話しました。

そして全ての偶然の出会いが、そう長くない時間で、溶けるように消えていき、店も静かになり、我々もそれぞれの帰路につきました。不思議な晩でした。森見登美彦さんの小説みたいな。さて、今度はどんなセレンディピティがあるかな?