ウェッジ型の上限を上抜けたもののレンジの上限に押し返される
前回のコラムでは、ウェッジ型のもち合いを上抜けた可能性があるとしましたが、年末高に向かうための条件を3つ解説しました。
1. 一旦上抜けたレジスタンスライン上を維持すること
2. 11月7日と8日の間に発生した窓を埋めないこと
3. 大きなレンジの上限の水準である28,500円台を回復して維持すること
では、その後の株価はどのように動いたのでしょうか。まず1つ目ですが、11月9日と10日の間に窓をあけて下落しましたが、ウェッジ型の下限で下げ止まると、今度は11月10日と11日の間に窓をあけて上昇し、再びウェッジ型の上限を上回る結果となりました。
因みに、このときに発生した2つの窓は過去の値幅の範囲内であることからコモンギャップ(=普通の窓)と思われます。
続いて2つ目は、11月10日に下落したものの11月9日との間に窓をあけており、結局11月7日と8日の窓を埋めることになりませんでした。
そして3つ目は、28,000円台に乗せてレンジの上限を上回る場面がありましたが、翌営業日に押し返されて反落した後は小幅な値動きになっているのが分かります。
このような状況から大きなレンジの上値が抵抗になっており、前回指摘したことが年末高に向け、クリアしなければならない条件だと言うことがお分かりいただけたのではないかと思います。
ウェッジ型の上限や5日移動平均線上を維持できるか要注目
では、今後どのように株価が変動すればレンジの上限を突破できるのでしょうか。
レンジの上限を突破するためには日経平均株価が上昇を続ける必要がありますが、その状態についてテクニカル指標を使って説明するとどうなるのでしょうか。
ここでは、2つ指摘するポイントがあると考えています。1つは5日移動平均線上を維持することです。株価が5日移動平均線上を維持している間、5日移動平均線は上向きを続けます。そうなれば、反落した場合でも、5日移動平均線がサポートになることが考えられ、レンジの上限を突破する可能性が高まると思われます。
一方で5日移動平均線を下回ってしまい、5日移動平均線が上値の抵抗になって戻せないようですと、75日移動平均線を下回ることも考えられ、レンジの下限に向かうことも視野に入ってきます。
もう1つは、レンジの上限を上回って維持することです。11月11日もそうでしたが、一旦上回っても上回ったまま維持できなければ、上値の壁となることが考えられます。
特に11月11日のように、上値の壁として意識されている水準で押し返されたときは、損益状況に影響が出てくると考えられます。レンジの上限を突破しても維持できないようですと、含み損を抱えた投資家の戻り売りが出てくることが考えられると同時に積極的に売ってくる投資家が出てきて、一旦下落に向かう可能性も否定できません。
そのため、レンジの上限に接近している今週中にも上値の抵抗を突破する必要があると考えます。仮に次回のこのコラムで5日移動平均線を下回っていたり、レンジの上限を突破できていなかった場合は、年末高に向けた期待が一旦後退する可能性もあるため、注目したいと思います。