11月の日経平均、勢いは続くのか
東京株式市場は11月相場入りとなりました。日経平均は10月初日の3日につけた取引時間中の安値(25,621円)から10月31日の高値(27,602円)まで上昇基調を続け、月足ローソク足では2020年11月以来の実体(始値と終値のレンジ)の長い陽線を形成しました。
9月の下げ相場では、2012年秋口の安値を起点とした長期上昇トレンドラインまで下押す弱気一辺倒の値動きとなりましたが、10月はトレンドライン上から見事に陽線で切り返す格好となりました。
1985年以降、11月の日経平均の月次騰落率は年間では4月に次いで高パフォーマンスですが、2022年も10月の勢いが続くのでしょうか?
ただ、目先的な上値の伸びしろについては慎重になってしまいます。戻り売りが強くなるのは27,500円を超えてからです。8月高値を起点に9月の戻り高値を通る抵抗線が27,600円前後で待ち構えているため、次の大きなフシとして、ここを超えられるかどうかが重要なポイントになります。ダウ平均の戻りが短期的に一服する可能性も高く、東京株式市場も戻り売りが意識されやすくなっています。その一方、米長期金利のピークアウト感もあり、出遅れ感のあるナスダックが反発基調を鮮明にしてくれば、日経平均の深い押しは想定しづらくもなってきます。
遅行スパンでみるダウ平均とナスダックの違い
しかし、10月相場が終わり、米主要指数を月足で確認すると明らかにダウ平均とナスダックに違いがあります。それは、月足の一目均衡表で遅行スパンの好転(強気)を維持しているダウ平均に対して、ナスダックは逆転(弱気)しているという点です。
遅行スパンとは、終値を過去26ヶ月前にずらしたもので、毎月つなげることでラインチャートのようになります。遅行スパンが当時の株価を上回っていれば強気相場、遅行スパンが当時の株価を下回っていれば弱気相場と言われています。
例えば、10月相場の終値を過去26ヶ月前にずらすと、2020年9月の位置になります。ダウ平均の遅行スパンは32,732ドル>2020年9月終値27,781ドル、ナスダックの遅行スパンは10,988P<2020年9月終値11,167Pとなります。
この違いが10月相場の両者のパフォーマンスの差を生み出しているのです。10月のダウ平均は14%近く上昇したのに対して、ナスダックは3.9%しか上昇していません。これほどまで両者の騰落率が拡大したのは2002年2月以来です。
過去、両者のパフォーマンスの差が大きい時の日経平均は決して地合いが良かったというわけではありません。とすれば、上向きの11月といえども油断はできないといえそうです。特に11月前半はそうではないでしょうか。