先週、S&P500は4.74%の上げ、ナスダック100は5.78%の上げとなりました。S&P500は10月13日の3,492の安値から7.5%回復しています。

米国では第3四半期の決算発表の真っ只中です。先週末までにS&P500採用銘柄のうち約2割に相当する99社の決算発表が行われており、先週末の段階では前年同期比で2.45%の増益という結果となっています。7月22日時点では8.3%の増益予想で、決算発表が本格化する前の10月7日の段階では2.57%となっていました。ここ3ヶ月間かけて金利が上昇し、株価が下落する過程で市場の予想は既に大きく下方修正されたのです。よって既に業績予想はある程度下がっていたこともあり、実際の決算発表ではそれほど大きく下がらなくなっているのかもしれません。

米国では10月末は投資信託がキャピタルゲインを計上する締切となっていますので、機関投資家については10月、個人投資家は締め日の12月31日より前の12月にいわゆるタックスロス・セリング (節税対策売り) を行います。その結果、機関投資家と個人投資家のフローは、売りが一巡するとその後数ヶ月後に反転しています。2022年については、米国株は大きく売られているので、2022年のタックスロスの売却は大規模となっている可能性があり、売られた銘柄は後に大幅反発する可能性が高まっています。10月前半の下げもタックスロス・セリングが関係しているかもしれません。

投資家心理が著しく弱気の時は下がらない可能性が高い

先週発表されたバンク・オブ・アメリカ(BofA)のグローバルファンドマネージャーズ調査という業界で非常に有名な機関投資家に対するアンケート調査でも、投資家のセンチメントはこれ以上悪くなれないくらい悪いという結果が出ています。しかも、投資家のキャッシュ保有レベルが6.3%と、これは2001年4月来の高いレベルということで、投資家の相場に対する慎重なスタンスを示しています。現在のネットの株式のアロケーションは2008年の世界金融危機の時より低いというのが現在の状況です。

私は、米国の個人投資家のマーケットに対するセンチメントが非常に悪く、これは逆張り的な観点で見ると、マーケットにとってはポジティブであると言い続けてきました。このように機関投資家や個人投資家のセンチメントが極度にネガティブであるということは、株価はこれ以上下がらない可能性が高いと考えられます。

米中間選挙のアノマリーを考慮すると

8月8日付のコラムでご紹介した通り、1930年からこれまでの中間選挙の年の株価のリターンのパターンでは、11月から翌年4月までの半年間は平均11.86%上昇、この間プラスになる確率は87%と1年で最も株価が上がり、かつその半年間に株価がプラスになる確率も最も高い期間となります。

今週はアルフベット(GOOGL)、アップル(AAPL)、メタ・プラットフォームズ(META)、アマゾン・ドットコム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)などGAFAMと呼ばれているグローバルメガキャップ企業の決算発表があります。これらの企業の決算が思ったほど悪くないだけでも、市場全体の上昇をサポートするのに十分ではないでしょうか。