今日から10月のマーケットが始まります。
9月のS&P500は9.3%下げ、3,585まで下落するという投資家にとっては辛い1ヶ月間となりました。これにより、S&P500は2022年に入り9月末までの9ヶ月間で、5回にわたる利上げの洗礼を受け、
24.8%下落しています。この下げ幅は、1928年からこれまでで4番目に大きく、長い米国株の歴史の中でも、ここまで下がることは滅多にありません。中間選挙の年に限定しますと、これまでで3番目にパフォーマンスが悪い年となっています。
9月は1年間で最も米国株が下がりやすい月
9月の米国株が弱かった理由は、パウエルFRB議長がインフレを退治するため徹底した覚悟で利上げを継続するというコミットメントに対してマーケットは不安に思い、長短金利の上げを嫌がって下げたためです。
9月の中でも、特に先週、9月の最後の週は大変な週でした。9月単月で見ると、1928年からこれまで、中間選挙の年の9月はS&P500は平均で1.14%下落しており、9月がプラスで終わる確率は47.8%と半分を切っています。そもそも、9月は1年間で最も米国株が下がりやすい月でした。
加えて、9月の中でも、9月最後の10日間のS&P500のパフォーマンスは平均で−1.04%、この10日間がプラスになる確率は40%しかなく、この10日間というのが1年で最もパフォーマンスが良くない10日間なのです。
ですから、そもそも9月という月が、1年間で最も米国株が下がりやすい月であり、その中でも特に下がりやすい最後の10日間を皆さん経験されたというわけです。
マーケットは起こりうる最悪のシナリオを織り込み済みか
さて問題は、これからどうなるのかということです。S&P500は200週間移動平均線である3,589のレベルを切ってしまいましたので、次の下値抵抗線は3,500辺りとなります。もっと下がるとするならば3,400台半ばが視野に入ってきます。ただ、それ以上は下がらないと考えています。
それは、米国の個人投資家のセンチメントが歴史的に最悪なレベルまで下落しているからです。1987年に集計が始まった米国個人投資家協会のブルベア指数によると、現在投資家の弱気レベルが史上ワースト3と稀なレベルまで高まっています。ここまで投資家のセンチメントが悲観的になった過去2回について、S&P500やナスダック総合指数などの主要指数は、その3ヶ月、半年、1年後に上昇しているのです。
ですから、この投資家のセンチメントのデータが示唆するものは、マーケットが下がり、投資家のセンチメントが最悪になった時というのは、今後起こりうる最悪のシナリオを既にマーケットは織り込んでおり、その後の株価については下がるのではなく、むしろ、上がる可能性の方が高いということです。
株式市場にとって金利は大事なものの、全てが金利で決まるのではありません。最終的に株式を買うのは投資家ですから、その投資家の心理状態も株価に反映される要因の1つなのだと思います。
過去のデータから考察する今後のマーケットの見通し
今後のマーケットの方向性を考えるにあたって、過去の統計を紹介したいと思います。
米国の場合、大統領の4年のサイクル(4年周期)がありますので、そのサイクルで起きたデータ分析を投資家は参考にしています。大統領選サイクル理論と呼ばれており、例えば、2022年はバイデン氏が大統領になって2年目にあたりますが、その大統領就任2年目は4年間のサイクルで最も株価のパフォーマンスが良くない年であるという統計があります。しかしその2年目の9月末から、翌年の就任3年目、つまり2022年10月から2023年の6月末までの9ヶ月間は大統領の4年サイクルの中でベストの9ヶ月のようです。
BofAの調査によると、この9ヶ月間のS&P500のリターンは、中間値で+17.7%で、この9ヶ月間がプラスになる確率というのが91.3%と非常に高いのです。一方、大統領就任1年目、3年目、4年目の9月末からのS&P500の9ヶ月間のリターンはというと平均値は+4.5%、この間がプラスになる確率は60.6%しかないのです。
2022年、このパターンが有効で、10月にマーケットが一時的に下がるとすれば、それは非常に魅力的な買いの機会であると言えるのではないでしょうか。
もう1つ興味深いデータがありました。2022年は2で終わる年ですが、この2で終わる年のサイクルで見ると、9月末から、翌年の3で終わる年の6月末までの9ヶ月間のリターンは、中間値で+19.5%とほぼ2割増となっており、この間がプラスになる確率は78%となっています。
まだあります。2で終わる年、かつ、大統領就任2年目、つまり2022年のことです。このサンプルはこれまで4回しかありませんが、その年の9月末からの9ヶ月間のリターンは平均値で+31.4%、そして、この間は4回ともプラスになっています。
今回全く同じようになるという保証はありませんが、今後のマーケットが高いことを示唆する、非常に興味深いデータではないでしょうか。