【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 28,725.51 ▼500.10 (9/30)
NASDAQ: 10,575.62 ▼161.89 (9/30)
1.概況
先週末の米国市場はPCEコア指数で伸びが加速したことで米連邦準備制度理事会(FRB)による急速な利上げが景気を後退させるとの見方が強まったことや、ナイキ(NKE)の冴えない決算を受けて企業業績悪化への懸念も強まり大幅続落となり、主要3指数が揃って年初来安値を更新しました。102ドル安でスタートしたダウ平均は持ち直すと昼前に130ドル高まで上昇しましたが、買いが続かず伸び悩むとまもなくしてマイナスに転じ大きく下げ幅を広げました。結局ダウ平均は500ドル安の28,725ドルとほぼ安値引けとなり、9月27日に付けた年初来安値(29,134ドル)を更新しています。
また、S&P500株価指数も54ポイント安の3,585ポイントとなり前日に続いて年初来安値を付けたほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も161ポイント安の10,575ポイントとなり6月16日に付けた年初来安値(10,646ポイント)を更新しています。
2.経済指標等
9月のシカゴ購買部協会景気指数(PMI)は45.7と前月から低下し市場予想も下回りました。9月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値も58.6と速報値から下方修正され市場予想を下回っています。8月の個人消費支出(PCE)は前月比0.4%増となり市場予想を上回りました。また、8月のPCE物価指数でエネルギーと食品を除くコア指数は前月比0.6%上昇と市場予想を上回り7月から伸びが加速しています。8月の米個人所得は前月比0.3%増となり市場予想と一致しています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち不動産を除く10業種が下げました。そのなかでも公益事業と情報技術、一般消費財・サービスが2%近く下落しています。
4.個別銘柄動向
ナイキが13%近く下げダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。決算が大幅な減益となったうえ、在庫が急増したことで今後値下げを迫られ採算が悪化するとの見方から売りが膨らみました。スポーツ衣料のルルレモン・アスレティカ(LULU)やアンダーアーマー(UA)にも売りが波及し、ルルレモン・アスレティカが7%近く下落し、アンダーアーマーも8%以上下げました。また、クルーズ船のカーニバル(CCL)が人件費や燃料費などコスト高で市場予想を大幅に上回る最終赤字を計上したことで23%を上回る下落となりました。他のクルーズ船にも売りが広がりノルウェージャン・クルーズライン・ホールディングス(NCLH)が18%安となり、ロイヤル・カリビアン・クルーズ(RCL)も13%以上下げています。
5.為替・金利等
先週末の長期金利は0.04%高い3.83%となりました。ドル円は144円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安を受けて軟調なスタートが予想されます。こうしたなか25日移動平均線との乖離率がマイナス6%近くまで広がり売られ過ぎとなっている日経平均が下げ渋り底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。また、本日は寄り付き前の8時50分に日銀短観が発表される予定で注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)