東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅反落となりました。149円安の26,422円で寄り付いた日経平均は直後に55円安の26,516円まで持ち直しましたが、戻し切れないと大きく下げ幅を広げ11時20分過ぎに633円安の25,938円まで下落し587円安の25,984円で前場を終えました。576円安の25,995円でスタートした後場の日経平均は節目の26,000円を挟んで揉み合う展開が続きましたが引けにかけて下げ幅を縮めると結局397円安の26,173円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

エーザイ(4523)が17.3%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。米バイオジェン(BIIB)と開発するアルツハイマー病の治療薬候補「レカネマブ」の第3相臨床試験で症状の悪化を抑制する有意な結果が出たと発表したことで買いを集めました。塩野義製薬(4507)も一時2.8%高となりました。開発中の新型コロナウイルス感染症の治療薬の臨床試験で主要評価項目を達成したと発表したことを好感した買いが入りました。オンワードホールディングス(8016)も5.2%高となりました。傘下のオンワード樫山を中心に主力のブランド事業が好調で通期の営業利益の見通しを21億円から41億円に上方修正したことで大幅高となりました。

一方でJ.フロント リテイリング(3086)が3.8%安となりました。コスト削減が寄与し通期の利益予想を上方修正しましたが、売上高にあたる連結売上収益を下方修正したことで客足の回復が遅れていることを懸念した売りが出ました。スギホールディングス(7649)も7.0%安となりました。4月の薬価改定に伴い調剤部門の採算が落ち込んだうえ、光熱費の上昇もあり上期の営業利益が前年同期の水準を下回ったことで売りが膨らみました。スポーツ用品販売大手のヒマラヤ(7514)も7.6%安となりました。2022年8月期の営業利益が前期比で0.8%増に止まり会社計画を下回ったことが嫌気されました。

また、米アップル(AAPL)が期待した需要が実現しなかったため今年の新型iPhoneの増産計画を撤回したようだと伝わったことでアップル関連銘柄が安く、アルプスアルパイン(6770)が3.6%安、TDK(6762)が3.1%安、村田製作所(6981)が一時4.7%安、日東電工(6988)も一時3.6%安となり、村田製作所は年初来安値を更新しています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は397円安となりました。米長期金利の上昇が重石となり昨日の米国市場でダウ平均とS&P500株価指数が続落となり前日に続いて年初来安値を更新したことから売りが優勢となりました。また、米アップルが新型iPhoneの増産計画を撤回したと伝わったこともあり時間外の米株価指数先物が軟調となったことから下げ幅を大きく広げ節目の26,000円を割り込む場面もみられました。しかし、26,000円を下回ったところでは押し目買いが入ったうえ、引けにかけて配当の再投資に絡む先物買いも入り26,000円を上回って取引を終えています。

なお、明日は権利落ち日で220円程度の配当落ちがあるとみられますが、こうしたなかで引き続き26,000円を維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)