上海総合指数は、米国の金融引き締めや欧州のエネルギー危機が重しに

2022年9月中旬の中国本土市場・香港市場は下落となっています。2022年9月2日終値から9月21日終値までの騰落率は、上海総合指数が-2.2%、香港ハンセン指数は-5.2%となり、特に香港ハンセン指数が大きく下げています。

上海総合指数は引き続き50日移動平均線に頭を押さえつけられる形で調整し、支持線となっていた100日移動平均線を株価が大きく下回ってきました。

特に9月15日と16日の下落が大きくなっています。引き続き政策期待は強いのですが、ロックダウンや干ばつの影響で中国経済がスローダウンしていること、米国の金融引き締めや欧州のエネルギー危機で世界経済が落ち込み気味なことなどが株価の重しとなりました。

9月16日に発表となった8月の小売売上高は前年比で前年同月比5.4%増と市場予想の同3.3%増や前月実績の同2.7%増を大きく上回りました。また、鉱工業生産も同4.2%増と市場予想・前月実績の同3.8%増を上回っています。固定資産投資も年初来5.8%増と市場予想の同5.5%増、前月実績の年初来5.7%増を上回っています。ただし、株価の大きな材料にはなりませんでした。

やはり中国本土市場が大きく動き出すだめには最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)の引き下げや李克強首相が2020年に比べ「より強力」と指摘した経済政策が経済に効いてこないとなかなか大きく動き出さないと思います。

しかし、その一方で世界経済のスローダウンやゼロコロナ政策が続いている点が足を引っ張っており、なかなか中央政府が目指している5.5%のGDP成長にはたどり着けないのではないかと思います。

各証券会社やアナリストも2022年の中国の成長率を引き下げており、2~3%の成長としているところが多い様子です。さらにゼロコロナ政策が続く場合は2023年の見通しも引き下げるとしているところも多くあります。今後のポイントとなるのは10月末の中国共産党大会や12月の中央経済工作会議などとなりますが、景気にプラスの影響を与える施策が出てほしいところです。

香港市場はさらに急落

香港市場はさらなる大きな下げに見舞われています。200日移動平均線、100日移動平均線、50日移動平均線はすべて下向きで、株価はさらにその下に位置しており、強い下落トレンドを描いています。

特に大きな下落の要因は出ていませんが、中国経済のスローダウンや米国の金融引き締めによって金利が上がり、グロース株が下落することによって香港のグロース株も下がるといった悪循環が続いている様子です。

香港株のポイントは香港ドルが米ドルとペッグしているという点で、米国が利上げを続ける中、香港の2年物の国債の金利もどんどん上昇し、現在では3.7%と米国ほどではないですが、4%に迫る金利になっています。ちなみに2021年末ではほぼ0%に近い金利でした。

国債利回りはリスクフリーレートとも言われます。政府が元本を保証して確実に償還してくれるので、売らずに最後まで持っていれば確実に金利を稼げるため、リスク無しで得られる金利収入という意味です。

それが2年物の比較的短い国債ではありますが、4%の金利に迫ろうとしているところですので、相対的に株式市場の魅力は下がってしまいます。

特に株価評価の高いグロース株にその影響が出ています。主なIT企業の2022年9月2日終値から9月21日終値までの騰落率を見てみると、テンセント(00700)が-13%、アリババグループ・ホールディング(09988)が-8.4%、小米(01810)が-12.6%などとなっています。米国ではこの後も利上げが続くとすると、目先は香港のグロース株にとっても厳しい時期が続きそうです。