東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて反落となりました。267円安の27,928円で寄り付いた日経平均は直後に289円安の27,906円まで下落した後切り返すと10時40分過ぎに90円安の28,104円まで戻しました。しかし、前引けにかけてやや下げ幅を広げると155円安の28,039円で前場を終えました。105円安の28,089円でスタートした後場の日経平均は節目の28,000円を上回って推移すると結局104円安の28,091円で取引を終えています。一方で新興株は堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
11時からの岸田首相の会見で現行1日当たり2万人の入国者数の上限を9月7日から5万人に引き上げる方針を示したうえ、添乗員なしのツアー実施も可能とすることも表明したことから日本航空(9201)やANAホールディングス(9202)が高く、日本航空が一時3.7%高、ANAホールディングスも一時3.1%高となり揃って年初来高値を更新しました。百貨店株も訪日外国人客(インバウンド)需要の回復を期待して堅調で、なかでも三越伊勢丹ホールディングス(3099)が3.0%高となりました。さらに東証グロース市場ではインバウンド向けの団体パッケージツアーなどを手掛けるHANATOUR JAPAN(6561)が6.3%高となっています。
アイ・アールジャパンホールディングス(6035)も16.0%高となりました。元役員のインサイダー取引疑惑に関する調査委員会からの調査報告書で不正に対する会社組織の関与などが否定されたとして見直し買いが入りました。また、目標株価の引き上げを受けてノーリツ鋼機(7744)やトランス・コスモス(9715)が買われ、ノーリツ鋼機が一時3.0%高、トランス・コスモスも5.2%高となりました。
一方で原油価格の下落を受けて石油関連株が安く、INPEX(1605)が3.5%安、出光興産(5019)が2.7%安、ENEOSホールディングス(5020)も3.1%安となりました。回転ずしのスシローを展開するFOOD&LIFE COMPANIES(3563)も一部メディアでマグロの偽装疑惑が発覚したと報じられたことで一時7.4%安となり年初来安値を更新しています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は104円安となりました。ニューヨーク連銀総裁が金融引き締めについて来年まで続けると述べたことなどで米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化を警戒した売りが続き昨日の米国市場が続落となったことで反落となりました。しかし、一時300円近く下げ節目の28,000円を割り込みましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すと28,000円を上回って取引を終えています。そのため底堅さが意識されそうですが、こうしたなかで明日以降買いが優勢となった場合には上値抵抗線として意識されやすい25日移動平均線(28,282円)を超えて水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。
なお、日本時間の21時15分には8月のADP全米雇用リポートが発表されるほか、22時45分には8月の米シカゴ購買部協会景気指数が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)