日経平均は6月9日の高値2万8389円並びに2万8500円の節目も一気に抜いてきた。米国市場でもS&P500が1月に付けた過去最高値から6月の年初来安値までの下落幅に対して半値戻しを達成した。次々と重要な節目を抜いて上昇基調が鮮明になりつつある。今週は機関投資家がまだ完全にはお盆休みから戻らないうちに、意外にすんなりと2万9000円の大台を試しにいくかもしれない。しかし、その水準に接近、もしくはワンタッチすれば、さすがに利益確定売りもかさんでこよう。

今週は17日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が一応、最大の注目材料とされるが、どれだけ市場が反応するかは正直、わからない。CPI発表後もFRB高官の牽制的なタカ派的な発言が相次いでいる。それでも米国株相場は上値を追っている。7月のFOMCという過去の議論はあまり材料にならないのではないか。

日本では決算発表は一巡したが、今週米国ではウォルマート、ホームデポ(16日)、ロウズ、ターゲット(17日)など小売り大手の決算発表がある。しかし、これらはすでに下方修正を発表しており織り込み済み。それより注目したいのはアナログ・デバイセズ(17日)とアプライド・マテリアルズ(18日)の決算だ。エヌビディアやマイクロン・テクノロジーなどがガイダンスを下方修正し、半導体業界全体に暗雲が漂っている。そうしたなか、幅広い分野の半導体を手掛けるメーカーであるアナログ・デバイセズや半導体製造装置の世界最大手であるアプライド・マテリアルズの業績は必見である。

今週の経済指標は15日に日本の4-6月期国内総生産(GDP)速報値、中国7月鉱工業生産、中国7月小売売上高、米8月ニューヨーク連銀景気指数、16日に米7月鉱工業生産、17日に日本の6月機械受注、米7月小売売上高、18日に米8月フィラデルフィア連銀景気指数などがある。この中で注目は中国の小売売上高と鉱工業生産だ。市場予想通りプラスの伸び率となれば、ロックダウンによる景気の落ち込み懸念が薄らいで原油や金属などコモディティ高の材料になる。それが金利に跳ねれば株価には悪材料だ。

基本的にはジャクソンホール会議を翌週に控えて様子見を決め込む投資家も多く、高値圏でのもみ合いに終始する週となろう。

注意したいのは15日の米国債の大量償還だ。例年、ドルの円転需要が大量に発生するので、「8月の円高」という季節的アノマリーの材料とされてきた。今年はこれだけ大きく為替市場が動いてきただけに、あらかじめスケジュールの決まっているイベントに対しては為替予約も進んでいるだろうから、波乱になることは考えにくいが、一応念頭に入れておこう。