マネックス証券が2021年10月より掲げている新たなブランドビジョン「大切なものに投資をしよう」には、投資の価値を儲けや利益だけではなく、それぞれの未来や夢を実現させるものへと進化させていきたいという思いが込められています。ブランドビジョンを通じて、自分が生きていく社会と自分が豊かになるように活動を続ける、さまざまな人々の“想い”を発信しています。
「自分にとって大切なものとは?」という視点は、実際に投資をするうえでも貴重なモチベーションやヒントを与えてくれるのではないでしょうか。「大切なもの」「好きなもの」の中にこそ、投資を始めるきっかけが隠されているのかもしれません。
1. 大切なものは人々に幸せや豊かさを与えられるか?
2. あなたにとっての大切なものを応援してくれる市場(=コミュニティ)はあるか?
3. 大切なものが提供する新しい価値観とは何か?
4. 大切なものは、社会や世界など、未来を変える力を持っているか?
5. 大切なものの先にはどんな成長・発展(=広がり)があるか?
今回は、「eスポーツ選手(プロゲーマー)」として第一線で活躍し、またeスポーツチーム「FENNEL」の代表を務める仏さんが大切にしている世界観を紹介します。
子供の頃には誰もが「何かで一番になりたい」という夢を持つもの。野球、ラクロスなど、いわゆる〝スポーツ〟をやってきた仏さんが大学時代に出会い、没頭したのがゲームでした。プレーを重ねていくことで、子供の頃から思っていた〝一番になりたい〟ということが実現できたそうです。
米国での留学体験などから「日本のeスポーツシーンは世界より10年遅い」という印象を持った仏さんはプロの選手として活躍するだけでなく、「FENNEL」というプロeスポーツチームも設立。
コーチング理論を取り入れてチームワークの強化に励んだり、アパレルブランドとコラボしたりするなど、eスポーツの普及に情熱を燃やしています。
「ゲームを通じて、オンラインだけでなくオフラインでもお互いがつながり、熱狂することで、人々の幸福度が上がるようなコミュニティを創りたい。」
それが仏さんの目指すeスポーツの未来です。そこで、仏さんが大切にしているeスポーツの世界が株式市場でどのように受けとめられ、どんな企業が関連しているかを見ていきましょう。
eスポーツは成長市場
eスポーツとは、オンライン上で参加者が対戦スポーツを楽しむ競技のことです。
国際オリンピック委員会(IOC)は、バーチャル・スポーツの分野で新たなオーディエンスとの直接的な関わりを深めることを目的としたeスポーツ大会「Olympic Virtual Series」を2021年夏に開催しました。
2022年の市場規模は日本国内だけで100億円に迫り、海外では2,000億円をはるかに超えると言われています。
すでに世界各国で優勝賞金1億円クラスの大会が開催され、競技者の美技やバトルに熱狂する10代、20代の若者が増加しています。「今後、発展が見込める注目の成長市場」として、すでに大きな期待が寄せられています。
関連する企業は、ゲーム業界だけではありません。eスポーツを楽しむためには高性能パソコンや高速半導体が必要になるため、コンピュータ、半導体業界にも大きな需要が見込めます。
長時間ゲームを行うために開発された専用チェア市場では、人間工学に配慮した高機能チェアブランド「エルゴヒューマン」も高価格のゲーミングチェアを販売しているほどです。
大規模なeスポーツイベントの開催には数多くのメディアや広告代理店、エンターテイメント企業も関わり、ホテル、不動産、観光、飲食など裾野の広い業界に恩恵が及びそうです。
また、eスポーツ専門の学校が開校した他、eスポーツ選手向けのジム運営など、今までになかったビジネスも展開されています。世界中の競技者とコミュニケーションするためのゲーミング英会話など、eスポーツと教育産業のつながりに注目が集まる可能性も高いでしょう。
eスポーツと“大切なもの”をつなぐ5つの切り口
eスポーツが発展すると、世の中はどのように変わるのでしょうか?自分にとっての“大切なもの”から投資を始めるきっかけを見つけるため、eスポーツに潜む投資の可能性を、先ほどの5つの切り口から考えてみましょう。
幸せ・豊かさ
eスポーツが既存のリアル・スポーツ同様に人々を熱狂させる幸福度の高いコンテンツや豊かな教育素材になる。
市場
eスポーツを応援する世界中のゲーマーたちが国境を超えてつながる巨大コミュニティが生まれている。
新しい価値観
eスポーツを競技するeアストリートがあこがれの職業になる。
未来を変える力
eスポーツから生まれた巨大なオンラインコミュニティが「メタバース(仮想空間)」発展の基礎になる。
成長・発展
高度なゲーム操作に即応できるよう、デジタル機器や情報通信の技術がさらに進化する。
eスポーツに関連した日本、世界の企業とは?
では、このようなeスポーツがもたらす可能性を進化・発展させているのはどんな企業でしょうか?
eスポーツ事業に関連する日本国内の主な企業は以下になります。
・ソニーグループ(6758)
人気ゲーム「フォートナイト」を運営する米国のエピック・ゲームズに出資し、eスポーツを新たな成長事業ととらえる
・コナミグループ(9766)
東京オリンピックのeスポーツのプレ・イベントに採用された「実況パワフルプロ野球」の開発メーカー
ゲーム産業は、任天堂(7974)、カプコン(9697)をはじめ、世界が認める日本のお家芸です。eスポーツが普及の途上にある日本のゲーム産業には、まだまだ多くの投資チャンスが残されているのではないでしょうか。
こうしたeコマース関連株を株式市場で購入するには100株単位となるため、どれも数十万円以上の高額な資金が必要です。ただし、1株単位で少額から購入できる単元未満株で取引できる場合もあります。
一方、eスポーツの競技人口が多く、高額賞金をかけた大会が普及しているのは、米国や中国です。
米国市場には「グローバルXヒーローズ(ゲーム&eスポーツ)ETF(HERO)、ベンチマークはソラクティブ・ビデオゲーム・アンド・E スポーツ・インデックス」という、eスポーツ関連企業を集めたETF(上場投資信託)があります。
eスポーツ隆盛を背景に急成長を遂げた企業としては、米国半導体メーカーのエヌビディア(NVDA)が有名です。
同社は3Dゲームのグラフィック処理に不可欠な高性能GPU(画像演算処理装置)の開発会社としてスタートしました。高速GPUはその後、クラウド向け大容量サーバーや暗号資産の採掘などにも使われるようになり、半導体業界でのシェアを急速に拡大。今では世界でも有数の時価総額を誇る大企業に成長しています。
そして、eスポーツ産業では、中国企業の存在感も非常に強く、多くのゲーマーに支持されるオンラインゲームの開発を行っています。
世界最大規模のeスポーツ向けゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」を開発するライアットゲームズの親会社は、中国のSNS最大手テンセント・ホールディングス(00700)です。また、人気のバトルロワイアルゲーム「荒野行動」も中国のネットイーズ(09999)という企業が開発したゲームとして知られています。
“大切なもの”の一歩先には投資を始めるヒントが隠れているのではないでしょうか。eスポーツ選手はすでに「小学生、中学生がなりたい職業ランキング」の上位に入っています。
世界中の若者が熱狂する、eスポーツのオンラインコミュニティは、今後、普及が見込まれる「メタバース(仮想空間)」の発展・進化に貢献する可能性も高いでしょう。