対米ドルでの「下がり過ぎ」に差
ユーロ/米ドルのユーロ安値更新が続いているが、豪ドル/米ドルもそれを追いかけるように下落が勢い付いてきた。これまでの原油相場などエネルギー価格の高騰により、代表的な資源国通貨の豪ドルは、対米ドルでユーロなどに比べて下落が遅れた分、相対的な続落リスクが高くなっている可能性がありそうだ。
豪ドル/米ドルの5年MA(移動平均線)かい離率は、足元でマイナス6%程度(図表1参照)。一方で、ユーロ/米ドルの同かい離率が既にマイナス10%以上に拡大したことと比べると、両者の「下がり過ぎ」の程度にかなり差があることがわかるだろう(図表2参照)。
これは、52週MAかい離率での比較でも基本的には同じ。豪ドル/米ドルの同かい離率は足元でマイナス6%程度なのに対し、ユーロ/米ドルは同マイナス9%程度(図表3、4参照)。両通貨ペアとも、経験的には同かい離率がマイナス10%以上に拡大すると「下がり過ぎ」懸念が強まり、下落が一巡する可能性が高まる。そういった観点からすると、ユーロ安・米ドル高は、次第に「下がり過ぎ」への警戒を強める必要もありそうだが、豪ドル/米ドルの場合は、少なくともまだ「下がり過ぎ」による下落が終了するといった段階ではなさそうだ。
足元の豪ドル/米ドルの52週MAは0.72米ドル程度。従って、それを10%下回る水準は0.65米ドル程度になる。豪ドル/米ドルが「下がり過ぎ」により下落終了を意識する必要が出てくるのは、基本的には0.65米ドルを割り込んでからではないだろうか。
このように、ユーロと豪ドルで、対米ドルでの「下がり過ぎ」にこれまで比較的大きな差が出たのは、冒頭でも述べたように、6月にかけて原油相場などエネルギー価格の高騰が続いた影響が大きかったのではないか。
そのエネルギー価格も、最近にかけて下落が広がってきた。こうした中で米ドル高が続いた場合は、これまでの出遅れ修正の影響もあり、ユーロなどより豪ドルなど資源国通貨の続落余地が相対的に大きくなる可能性に注目だ。