中国本土市場・香港市場が上昇した要因とは

2022年6月下旬~7月初めの中国本土市場・香港市場はともに上昇となっています。2022年6月20日終値から2022年7月4日終値までの騰落率は、上海総合指数が+2.7%となり、香港ハンセン指数は+3.1%となっています。

上海総合指数は4月27日を底として緩やかな上昇を続け、200日移動平均線近辺まで上昇し、これから200日移動平均線を上抜けるかどうかを試すところです。

香港ハンセン指数は上海総合指数よりは弱い値動きなのですが、それでも株価は50日移動平均線と100日移動平均線を上抜けてきて、これから200日移動平均線に向かうかどうかというところです。

中国本土市場・香港市場が上昇している理由には金融緩和と政策期待が大きな背景としてあります。

例えば6月22日に中国の国務院は中古車市場を活性化させ、買い替えを促進する、新エネルギー車消費を支援するなどの自動車消費を支援する政策の拡大を決めています。これによって2022年の自動車関連消費が約2,000億元増えると見込んでいます。さらに当該期間は中国当局が、新型コロナウイルス政策と経済面の懸念の高まりとのバランスを取る取り組みとして、濃厚接触者と入国者に対する隔離措置の緩和(隔離期間をこれまでの21日間から10日間に短縮)を発表したことも好材料となっています。

中国の経済指標は堅調へ

また、中国の経済指標が堅調になったことも追い風となりました。6月30日に発表された6月の中国国家製造業PMIは50.2となり、市場予想の50.5は下回ったものの、前月実績の49.6は上回り、景況感の境目である50も上回りました。

中国国家非製造業PMIも54.7と、こちらは市場予想の50.5、前月実績の47.8を共に上回りました。7月1日に発表された6月のCaixin中国製造業PMIも51.7と市場予想の50.2、前月実績の48.1を共に上回っています。

これら各PMIが共に景況感の境目である50を上抜けてきたことは新型コロナウイルスのロックダウンの解除から中国経済が徐々に立ち直っていることを示すものとなります。中国当局が発表している一連の景気刺激策や金融緩和によって2022年後半から中国経済が勢いを取り戻す可能性も見えてきたところで、これを受けて株価が上昇している側面もあると言えるでしょう。

ハンセンテック指数は規制強化のピークを迎え、現在は力強く上昇

香港市場で注目したいのはハイテク関連の30銘柄から構成されるハンセンテック指数が好調であるところです。

ハンセンテック指数の2022年6月20日終値から7月4日終値までの騰落率は+5.5%となり、上海総合指数や香港ハンセン指数の上昇率を上回っています。習近平国家主席は中央全面深化改革委員会の第26回会議でプラットフォーム企業の金融業務規制を強調しました。

具体的には消費者の権利を保護するため、プラットフォーム企業の独占や不当競争を取り締まり、データ蓄積などを監視するとしています。その一方で、アリババ・グループ・ホールディング(09988)と同社傘下のフィンテック企業であるアント・グループは規制回避のために各種提携を解消しています。

これらのニュースはハイテク企業にとってあまり良く無いニュースのようですが、アリババ・グループ・ホールディングの2022年6月20日終値から7月4日終値までの騰落率は+8.4%となっており、また50日移動平均線は上向きに変化しつつあり、株価は200日移動平均線に近接してきています。

やはり、全体的には中国当局によるハイテク企業への規制強化はピークを迎えた可能性が高いとみてもいいのかもしれません。

なお当該期間中、テンセント(00700)の株価は軟調となり、50日移動平均線を割り込みましたが、これはテンセントの大株主である南アフリカのメディア大手、ナスパーズが自社株買いの資金などを調達するため、保有するテンセント株の一部を売却すると発表したことによるものです。

ただし、テンセントもこの影響を緩和させるために自社株買いを再開しており、影響は限定的だと思われます。