今週(6月10日~6月16日)の相場動向

相場回顧 BTC:DeFi等の問題や金融引き締めが意識されるなかBTC=20000ドル付近まで暴落

ビットコインは米暗号資産レンディング会社のセルシウスの財務状況に対する懸念が広がるなかで軟調な推移となった。イーサリアムの価格が大きく下落し、ETHとstETH(※)のディペグが拡大したことで、同社のstETHを担保にしたレバレッジ取引の清算リスクが危惧された。ユーザーが預け入れ資産の換金を急ぐなかで13日には同社が出金の一時停止を発表し、米国株も下落が続いたことでビットコインはさらに売りが強まった。市況の悪化を受けてシンガポールの暗号資産ヘッジファンドであるスリーアロウズキャピタルが債務超過の状況にあるとの噂も出回った。米FOMCにかけては5月生産者物価指数の堅調な伸びを受けてFRBによる金融引き締め加速への懸念が強まり、BTC=268万円(20000ドル)付近まで下落した。当日は約27年ぶりとなる0.75ポイントの利上げが発表されたが、パウエルFRB議長が次回7月の利上げについても具体的な方針を示し、今回の利上げ水準は異例であると強調したことで、イベント通過後には米国株とともに買い戻しが強まった。

※ ステークド・イーサ:イーサリアムをステーキング仲介業者に預けることによって付与されるトークン

 

来週(6月17日~6月23日)の相場予想

BTCは20000ドル付近では底堅いが、インフレやDeFi等への懸念は消えず

金融市場では歴史的水準の消費者物価指数などを受けてインフレ長期化の懸念が高まっている。これを受け今週のFOMCでは歴史的な利上げが決定されたが、これにより米国経済は景気後退に陥るとの懸念も出ている。バイデン大統領は米国経済に強気の発言をしており、イベント通過後の安心感から買い戻しが一時的に強まることは考えられる。しかし、インフレ抑制が数値的に示唆されるまでは下落トレンドは続くだろう。

暗号資産市場では相場が暴落するなかでレバレッジ取引の清算があらゆるところで起きている。DeFi市場におけるセルシウスやスリーアロウズキャピタルの破綻懸念もそうだが、金融市場からの借入資金で大量のビットコインを買っているマイクロストラテジーに対する追証発生の懸念も強まっている。前回バブル期の高値であるBTC=268万円(20000ドル)付近では底堅い値動きになるだろうが、これらの懸念が悪化した場合にはさらに価格を下げる可能性もある。

直近上値としてBTC=335万円(25000ドル)、下値としてBTC=268万円(20000ドル)を意識する。

※ 1ドル134円で換算(6月17日時点)