NT倍率から推測する日経平均の今後の展開

日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は、2021年の年初にピークアウトしてから低下を続け、TOPIX優位のトレンドが続いています。一方、2016年以降を振り返ると、同じ方向のトレンドが1年前後続くと、短期的に小休止、あるいは当面のトレンドが変わった経緯があります。

その経験則を踏まえると、直近、13.9倍台の安値をつけた3月は高値から概ね1年が経過したタイミングにあたり、ここからNT倍率はしばらく拡大局面に入るかもしれません。

米国市場がようやく落ち着きをみせてきましたが、「サマーラリー」がナスダック主導で起きることがあれば、日本株はナスダックに連動しやすい日経平均が相場を主導する展開に変わっていくことが予想されます。

移動平均線からみる相場の動き

一方、日経平均は現状、依然として煮詰まり感が強い状態です。「煮詰まり感」とは、株価の値動きが次第に小さくなるような状況を示しますが、短期・中期など移動平均線の収れん度合いでグラフ化するとわかりやすいでしょう。

【図表】株価に煮詰まり感強まる(日経平均、2020月6月1日~2022年5月30日)
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチが作成

例えば、短期の10日移動平均線、25日移動平均線、中期の75日移動平均線のうち、最大値と最小値の差を単に日々のラインチャートで描くと、2020年6月以降の中期スパンでは概ね200~400円が底値圏となり、その水準まで縮小すると、相場の保ち合い上放れ・下放れにつながっています。

ちなみに、この期間の上限は2,500円~2,700円で、年初来で最も広がったのは3月の2,100円程度がありました。

実は、5月30日に101円まで小さくなり、2020年6月以降の中期スパンで最低を更新しています。それだけ、短期・中期のエネルギーが蓄積されている、売り方と買い方の力がきっ抗しているという状況です。そんな状況から上放れとなると、売り方は降参、下放れとなると買い方が降参する構図となり、トレンドが発生していくのでしょう。