下向きの75日移動平均線に押し返され、グランビルの法則通りの展開へ

5月に入ってからの東京株式市場は、第1週が大型連休の谷間だったことから5月2日、6日と2営業日しか取引がありませんでした。また5月6日は上昇して下向きの75日移動平均線を上回ったものの下向きの25日移動平均線には届きませんでした。

一方、大型連休明けとなる5月9日は、6日の始値を下回って始まると、そのまま下げ幅を拡大して終え、「行き違い線」が発生する格好となりました。

また、これまで解説してきた「下向きの移動平均線に接近して押し返された場合は売り」としている、グランビルの法則通りの展開になっていることが分かります。

このように下向きの移動平均線に押し返された状態が続くと気になるのは、このまま下落が続いてしまうのかどうか、ということです。5月9日までは4月17日の終値(26,334円)が安値の目途となってもち合いを形成していましたが、5月10日にはこのもち合いの下限を終値で割り込んでしまっています。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓、青い丸=埋まった窓
※チャートは25日、75日、200日移動平均線を表示

新たな窓の発生で、もち合いを下放れ

そのような中、もち合いの下限を割り込むと同時に新たな窓が発生しています。テクニカル分析では、もち合いを下に放れて直ぐに戻せない場合は、下降トレンドの発生が示唆されていると考えるのが一般的な判断です。

では、この窓はどの種類の窓と考えられるのでしょうか。私は、この窓は過去の値幅の範囲内であることからコモンギャップ(=普通の窓)と考えています。

ただ仮にコモンギャップだった場合、今後埋めることが考えられますが、窓を埋めて反発する場面があったとしても、グランビルの法則が示すとおり、下向きの75日移動平均線や25日移動平均線に押し返される状態が続いた場合、さらに下落基調が続くことが考えられますので、リバウンド狙いの買いは控える必要があると言えます。

また気になるのは、前述の「もち合いの下放れ」です。もち合いを一旦下に放れると、それまでもち合いのサポートとなっていた水準が上値の抵抗になることがよくあるため、株価が戻してもその水準が壁になってしまうのです。

さらに、忘れてはいけないことがもう1つあります。それは、3月15日と16日にあけた窓の存在です。

この窓はまだ埋まっていないことから、反発しても押し返されたり、このまま下降トレンドが続いたりした場合、窓を埋めることが考えられます。

この窓埋めの完成と25日移動平均線を上回って維持するまで、本格的な底入れとは言えない状況と考えられますので、売買タイミングには注意したいところです。