新年度入りから1ヶ月が経過しました。新入社員の方は会社に慣れ始め、迎える側の人も人心地つく頃ではないでしょうか。少し時間ができたら、往年の名作映画で、リラックスして金融・経済の知識を身につけてみませんか。

ストリーミング動画でお気に入りコンテンツや新作ドラマも良いですが、社会人としては知っておきたい金融・経済のキーワードや、過去のイベントを映画で学んでしまおうという一石二鳥の効率重視のくつろぎ勉強方法です。映画評論家で経済学博士、メガバンク勤務の経歴ももつ金融のプロとしての視点から、若手社会人におすすめする金融・経済映画をセレクトしました。

『THE金融作品』と感じられるものを★★★、『くつろぎ重視作品』を★、両者の中間を★★として紹介しています。

1.『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 ★★★

 

実在したブローカー、ジョーダン・ベルフォートの実話に基づいたストーリー。主演のレオナルド・ディカプリオ演じるジョーダンは22歳でウォール街の投資銀行に入行。学歴もコネもなかったが、卓抜なアイデアと巧みな話術でウォール街をのし上がっていく。違法な手法で、巨万な富と名声を手に入れたジョーダンだったが…。

モラルをまったく無視して得た大金で送る浪費・放蕩生活、その描写が過激なためにR18指定。1980年代から90年代のウォール街の雰囲気を味わえる映画。

(出演)レオナルド・ディカプリオ、ジョナ・ヒル、マーゴット・ロビー、(監督)マーティン・スコセッシ、(製作)2013年。

【もっと金融を勉強したい人へのおすすめ情報】

証券会社(投資銀行)業務に関しては他にも 『ウォール街』(1987年)も。また、リーマンショックについては 『インサイドジョブ』(2010年)が勉強になる。

2.『ハゲタカ』★★★

 

真山仁原作の小説『ハゲタカ』を映画化し、根強いファンを持つ作品。“ハゲタカ”の異名を持つ天才ファンドマネージャーと、中国系ファンドの使者との大手自動車メーカーの買収をめぐる壮絶な争いを描いている。大手自動車メーカー「アカマ自動車」の経営支配権を巡り、中国系の巨大投資ファンド「赤いハゲタカ」と天才ファンドマネージャーが激しいバトルを繰り広げる。

企業買収やマネーゲームに興味がある人は必見。特に「敵対的TOB(株式公開買い付け)を勉強したい方には最適である。

(主演)大森南朋、 玉山鉄二、 栗山千明、 柴田恭兵、(製作)2009年。

【もっと金融を勉強したい人へのおすすめ情報】

金融不正については 『金融腐蝕列島 呪縛』 (1999年)が勉強になる。

3.『ソーシャル・ネットワーク』 ★★

 

天才プログラマーの主人公は異常な情熱を傾けて新サービスを開発し巨万の富を築く。しかし共同創業者の友人は主人公の勝手な振る舞いについていけなくなり、反目が始まる。

現在は「メタ(META)」と社名を変えたが、旧フェイスブック(Facebook)のCEOマーク・ザッカーバーグがフェイスブックを設立し巨大企業に育てるまでの裏のドラマ。今や、世界最大のSNS(交流サイト)を作り上げ、デジタル通貨、そして、仮想空間(メタバース)にメインのターゲットを変更している企業の生い立ちがわかる。

(主演)ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、(監督)デヴィッド・フィンチャー、(製作)2010年。

4.『パラサイト 半地下の家族』 ★

 

家族全員が失業者で半地下住宅に住むキム一家。長男があるとき、丘の上の高級住宅地に住む裕福なパク一家の家庭教師の仕事を得る。長男はパク家の別の子供の家庭教師に妹を紹介し、パク家に次々と「パラサイト(寄生)」していく。

日本社会でも問題になっている格差をコミカルに描き出す。外国映画でアカデミー賞作品賞も受賞した韓国映画の名作。「格差」がテーマで、どんでん返しが連続する。

(監督)ポン・ジュノ、(製作)2019年。

【もっと金融を勉強したい人へのおすすめ情報】

日本でも人気がある韓国の映画・ドラマなどをはじめとした芸能業界は隆盛を極めているが、それは1997年の通貨危機とIMFの融資を受けたことが発端。その時に金大中大統領が芸能分野を主力産業とすることを決めた。

韓国の通貨危機は『国家が破産する日』(2018年)がある。ちなみに、韓国ドラマで大ヒットした『梨泰院クラス』(2020年)を2022年7月から日本(テレビ朝日)でリメイクされ、筆者が監修し『六本木クラス』として公開される。

5.『マイ・インターン』★

 

主人公は自ら起業し、成功している若手女性経営者。仕事と家庭を両立させて順風満帆にみえたが、家庭崩壊の危機に直面する。そこにアシスタントとして入社してきた40歳年上のおじさんが登場する。人生経験豊富な彼の助言で彼女は「本当の幸せ」をみつけていく。

本格的な高齢化で、定年後も元気に働いて社会に貢献する生き方が注目されている。高齢者がスタートアップ企業で貢献できるはベストなパターン。

(出演)アン・ハサウェイ、ロバート・デ・ニーロ、(監督)ナンシー・マイヤーズ、(製作)2015年。

【もっと金融を勉強したい人へのおすすめ情報】

企業・経営に関しては、世界最大のハンバーガーチェーンを作った実話 『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(2016年)が勉強になる。