戦後の第1次ベビーブーム(1947~49年)に生まれた「団塊の世代」がすべて後期高齢者(75歳以上)となり、全人口に占める高齢者(65歳以上)が30%に達するなど超高齢化社会に突入する「2025年問題」。高齢化が進む中でも社会・経済の活力を高め、社会保障制度を持続可能なものとしていくためにも、 「健康寿命」を伸ばすことが重要となります。「健康寿命」とは国連世界保健機関(WHO)が提唱した新しい寿命の指標で、平均寿命から要介護期間を差し引いた期間とされます。平均寿命の延伸に伴い健康寿命との差が拡大すれば、医療費や介護給付費の多くを消費する期間が増大することになり、疾病予防と健康増進、介護予防などによって平均寿命と健康寿命の差を短縮することができれば、個人の生活の質の低下を防ぐとともに、社会保障負担の軽減も期待できます。
厚生労働者は「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を設置し、「健康寿命延伸プラン」を策定しました。健康無関心層も含めた予防・健康づくりの推進、地域・保険者間の格差の解消に向けて自然に健康になれる環境づくりや行動変容を促す仕掛けなどにより、2040年までに健康寿命を男女ともに75歳以上(2016年比で3年以上延伸)を目指しています。 要支援・要介護になった原因として、25%が運動機能の低下が関連しているという見方もあり、適度に運動をすることがより重要となりそうです。 また、高齢になっても健康意識が高く活動的なアクティブシニアが増加すれば、関連ビジネスも拡大しそうです。
健康寿命延伸・アクティブシニア関連銘柄
カーブスホールディングス(7085)
病気と介護の不安と孤独のない生きるエネルギーがあふれる社会を創ることを経営目的に掲げ、「地域密着の健康インフラ」として健康寿命延伸の実現に貢献することを目指しています。 女性だけの30分健康体操教室「カーブス」をフランチャイズ展開しており、2021年8月末時点で1958店舗、69.3万人の会員を抱えています。男性版の「メンズ・カーブス」も展開し始めており、今後の動向が注目されます。
RIZAPグループ(2928)
シニアの体力向上、筋力向上、健康寿命の延伸を目的とした「ライザップ シニアプログラム」を2020年7月から開始しました。同プログラムは、将来寝たきりにならず、自立した生活が送れる期間である健康寿命を延ばす秘訣として、筋肉の機能に着目し、シニアの動ける・躍動できるカラダづくりにコミットしています。筋力を付けることで、転びそうになった時に瞬時にバランスを取り踏ん張れる力など「生涯を通して動ける身体」を維持することを目指しています。
リゾートトラスト(4681)
余暇を楽しむライフスタイルの変化を先取りし、会員制リゾートホテルを開発・運営しています。会員とともに美しい自然と共存しつつ、地域社会にも貢献するスタイルを確立しました。超高齢化時代を迎え、健康寿命と豊かな老後に関心が高まるなかメディカル事業を行い、独自の検診システムを構築して健康寿命の延伸に取り組んでいます。
ユーラシア旅行社(9376)
海外旅行において知的満足や精神的な喜びを強く求めるアクティブシニア層を対象に、世界170カ国以上を舞台に独自の海外旅行を企画販売しています。自然、文化、芸術など知的テーマを強く打ち出した旅行商品の品揃えと、訓練された添乗サービス、コミッション目当てに免税店へ立ち寄ることなく観光時間を充実させるなど、上質なツアーを運営しています。新型コロナウイルスの影響が大きく、海外旅行を取り巻く環境は厳しいものの、ワクチン接種率の向上やコロナ収束などで海外旅行ニーズが高まれば、業績回復が期待されます。