京東集団を始めハイテク銘柄が上昇をリード

2022年1月前半の中国株ですが、中国本土市場は下落、香港市場は続伸となっています。2021年12月31日終値から2022年1月14日終値までの騰落率は、上海総合指数が-3.3%、香港ハンセン指数が+4.2%となっています。

上海総合指数は下落しましたが、200日移動平均線まで下がってきたところで、まだ下落トレンドが確定したと言えるまでの状況ではないと思います。

一方、香港ハンセン指数は上昇したものの、50日移動平均線、200日移動平均線は下向きのままであり、株価は50日移動平均線をようやく上回ってきたところです。

香港ハンセン指数の推移を見ると、1月7日は+2.01%高と久々に大きく上昇し、売買代金も膨らんで強い日となりました。その3営業日後の1月12日も再び+2.91%の大きな上昇で、メインボード売買代金も1,536億香港ドルと大幅に膨れあがりました。

1月12日の上昇をリードしたのはITやバイオ医薬などハイテク銘柄で構成されるハンセンテック指数で、+5.3%もの大幅上昇となりました。同指数の寄与率で最大だったのは京東集団(09618)で+11.0%の上昇率です。フードデリバリー最大手の美団(03690)も+9.1%高でこれに続く寄与となりました。

京東集団は12月に▲19.4%安と大きく下げ、美団も大手ではここ半年でアリババ・グループ・ホールディング(09988)に次ぐ下落率となってきましたので、大きく下げた銘柄の反発が目立った感じです。

香港株が大きく上昇してきた理由や材料は殆ど観測されず、何か好材料が出たわけではありません。欧米の株価指数が記録的な大幅上昇となった2021年に、一貫して下げに下げてきた香港株や米国上場の中国株に割安感が強まり、世界的なバリュー株シフトの流れもあって上昇したというところでしょうか。

バフェットの右腕とも呼ばれるチャーリー・マンガー氏はアリババ株を買い増し

世界一のバリュー株投資家・バフェット氏の右腕と呼ばれるチャーリー・マンガー氏は、2021年夏に割安感の強まったアリババ株を大量に買い増ししました。それでも年後半に一段安となったので、今度はさらに大きな買い増しを行いました。

これまでテンセント(00700)と並んで成長株(グロース株)の代表でもあったアリババ・グループ・ホールディングが、中国当局によるIT企業への規制強化懸念によって大きく下落し、割安になったわけです。

そこをすかさず買ったのはマンガー氏だけでなく、世界の割安株をターゲットとするファンドマネージャーの中にも、2021年、米国の株価とは大幅に逆行安した中国株を割安とみて長期的な買いを検討する動きがあったのかもしれません。
ともあれ、2021年は大きく下げた中国株ですが、長期的な視点に立てば、マンガー氏(他に世界最大のヘッジファンドといわれるブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏なども)が中国を強気にみているように、今後、中国経済は(先進国と比較して)高い成長を続けていくのではないかと思います。

その動きを牽引するのがEVやITなどの情報技術を基にした産業と考えられ、割安感の強まったハンセンテック指数の構成銘柄(テンセント、アリババが最大級)が買われたことが今回の上昇の背景にあると思います。

世界的なマネーの流れで言えば、今後の金利高を懸念した債券市場から流出した巨大なマネーの一部が株式へと流れ、特に割安な中国の大型株にも流入しているという構図になろうかと思います。

もっとも、ハンセンテック指数はまだ下落トレンドを抜け出しておらず、50日移動平均線すら回復していない段階です。また中国当局の姿勢も不透明であるため、このまま上昇していくかは懐疑的で、まだ上昇トレンドに入るには時間がかかるとみます。しかし、一方では引き続きその分チャンスが続くと考えることも出来るかと思われます。