米国債利回りの上昇が下落要因

2022年に入ってからのJ-RIET価格は軟調な展開が続いている。東証REIT指数は2021年末の2,066ポイントから1月12日には安値で2,009ポイントまで低下した。

J-REIT価格は2021年9月下旬や11月下旬に急落する局面があったが、その時は株式市場と同様の動きとなっていた。しかし2022年1月初旬は株式市場が騰落を繰り返す中で、J-REIT価格は続落する状態となっている。

下落の背景には2022年のJ-REIT相場展望のコラムでも記載した通り、米国長期金利の上昇がありそうだ。2021年末に1.5%程度であった米国10年債利回りは、1月12日には1.7%を超える水準まで上昇している。

この金利水準は2021年3月頃と同程度であり、相場を急落させる程の上昇ではないが、2022年に3回の利上げが想定される状況となっているため、金利上昇はJ-REIT価格には悪材料だ。

需給悪化要因も加わり続落傾向

また年初から増資の公表が続き、投資口(株式に相当)の需給悪化要因も加わっている。

具体的には1月4日から6日にかけて日本プライムリアルティ投資法人(8955)、マリモ地方創生リート投資法人(3470)、コンフォリア・レジデンシャル投資法人(3282)、日本ビルファンド投資法人(8951)が増資を公表し、610億円を調達する見込みとなっている。

さらに1月10日以降は、J-REITに投資する毎月分配型投資信託の決算日が到来するため分配金支払のための換金売りが出やすい。J-REIT価格が膠着状態になっている月は、10日前後に価格が下落する場合が多く、今月も同様の傾向が出ていると考えられる。

ただし、この2つの需給悪化要因はJ-REIT市場ではこれまでも同様の影響を与えているため、時間が経過すれば解消していく可能性が高い。従って米国債利回りが再度低下基調になることがあれば、短期的に反発する可能性もありそうだ。