直近のJ-REIT価格動向

12月に入ってからのJ-REIT価格は、下値を探る展開となっている。東証REIT指数は11月下旬に急落し、月末には2,002ポイントまで低下していたため12月は反発した形になっている。

12月8日には2,052ポイントと2,050ポイント台を回復したが、最高値で見ると12月は2,072ポイントと11月の2,096ポイント、10月の2,108ポイントと比較すれば上値が切り下がっている状態だ。

なお、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の影響は皆無とは言えないが、感染拡大があった場合にホテルに次いで影響を受ける商業施設系銘柄の12月の価格はしっかりしている。従って、J-REIT価格にはオミクロン株の影響はさほど波及していないと考えられる。

年間のJ-REIT価格振り返り

2021年のJ-REIT価格は、2020年のコロナショックによる急落の影響を漸く脱した1年となった。

東証REIT指数は4月2日以降、2,000ポイント台を維持し7月6日は年初来高値となる2,186ポイントまで上昇した。その後は8月中旬、9月下旬、11月下旬の急落の影響を受けながら価格水準を切り下げているが、12月も2,000ポイント台での取引になっている。

【図表】東証REIT指数の推移(2021年1月4日~12月22日)
出所:東京証券取引所公表資料を基にアイビー総研(株)作成

東証REIT指数がこのまま2,000ポイント台での取引を続ければ、リーマンショック後としては最長になる。コロナ禍前の2019年7月から2020年2月までがこれまでの最長であったことと比較すると、2021年は物流施設以外の賃貸市場が悪化している中で、価格面では「健闘」した1年となったと言えるだろう。

この背景には、物件売却益による内部留保の取崩しを行う銘柄が増加したことが影響していると考えられる。2020年まで慎重だった銘柄が、投資主への利益還元策に転換していることもあり、分配金の安定性が高くなっている。高騰が続く不動産売買市況を活用する方針が投資家の買い安心感に繋がった1年だったとも言えそうだ。


関連サイト:2022年J-REIT相場展望「下落リスクが高く、上値は限定的か」