今週も窓についての解説になります。前週は窓が発生して直ぐに埋まる現象が続けて起こりましたが、まずはその確認から行い、今後の見通しについて考えていきたいと思います。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓、青い丸=埋まった窓

前週発生した方向性定まらぬ2つの窓

今回のチャートは、窓の発生と窓埋めが分かりやすいように、拡大した日経平均株価のチャートになります。チャートを見るとわかるように、12月15日から21日までの5営業日で窓が2つあいているのが分かります。

1つは、12月15日と16日の間にあけた窓です。2つ目は、12月17日と20日の間にあけた窓になります。これらの窓ですが、1つ目の窓は上方向に窓があきましたが、2つ目の窓は、下方向にあいており、全く逆方向に発生した窓ということになります。

1週間の間に上下に2つも窓をあけていることから、方向が定まっていないということが分かりますが、1つ目の窓があいたときには、下向きの25日移動平均線を上回っていることに加え、上向きの75日移動平均線に接近していることもあって、株価が上放れたと考えた投資家がいたかもしれません。

ただ、このコラムを読んでいる方であれば、既にお分かりだと思いますが、過去の値幅の範囲内で発生しているこの窓は、コモンギャップ(=普通の窓)になります。

この窓の種類が分かっていれば、窓を埋めることが考えられるため、翌営業日に日経平均が反落して始まったときには、利益確定やロスカットを行う必要があるということが直ぐに頭に浮かんだはずです。

続いて2つ目の窓ですが、この窓も過去の値幅の範囲内で発生しているため、コモンギャップ(=普通の窓)と考えられます。

そのため、1つ目の窓が発生した後の値動きとは逆に、21日は大きく反発して取引が始まったところから、窓を埋めることが考えられるため、売りポジションを持っている投資家は、買い戻す必要があるということが直ぐに思いついたはずです。

このように、上下に窓をあけているようでも、トレンドが発生するような窓ではないことが分かれば、窓を埋める可能性があることが分かりますし、株価の変動に振り回されずに対応することができたのではないでしょうか。

年末に向けて注意すべき今後の見通しとは?

さて、では今後の展開についてですが、株価のトレンドがはっきりしない値動きが続いていますが、12月21日は終値で5日移動平均線上を回復しており、翌営業日以降も5日移動平均線上を維持できるかが反発継続のカギになりそうです。

ただ、5日移動平均線上を維持できても、下向きの25日移動平均線を上回る必要があるため、高値掴みには注意が必要です。

なぜなら、前述のように12月16日に下向きの25日移動平均線を上回る場面がありましたが、翌営業日にあっさりと押し返されてしまい、その後の下落につながっているからです。

いまだに、25日移動平均線は下向きを続けていますので、今週から年末にかけての値動きについては、押し目買いを控えるなど、さらに慎重な対応が必要になると思われます。

また、12月3日の安値を終値で下回るようですと、他の下げ止まりの目途に接近したり、割り込んだりすることが考えられます。それと同時に、下降トレンドの発生と、2020年12月にあけた窓を埋める可能性も出てくるため注意が必要です。