中国本土株は小幅上昇。不動産業界への不信は残るも、中国当局の政策方針に期待

12月初めの中国株ですが、本土市場は小幅上昇、香港市場は大幅続落となっています。11月29日終値から12月6日終値までの騰落率は、上海総合指数が+0.7%、香港ハンセン指数が-2.1%となっています。

中国本土株が緩やかな上昇となっている理由は、中国本土市場には(この後述べますが大きく下落している)時価総額の大きなIT関連株がほとんど上場していないことに加え、中国当局の政策期待があります。

具体的には中国政府の顧問が2022年のGDP成長率の目標を5.0~5.5%に設定するように提案したとの報道や李克強首相が、近く金融政策を緩和する可能性があると示唆したことなどがあります。

李克強首相は預金準備率について、適切な時期に引き下げると述べた他、中小企業などの実体経済への支援を強化すると述べています。その他、12月2日には中国当局が不動産企業の社債発行を容認との報道から不動産株が買われました。

なお、不動産業界については佳兆業集団(01638)が4億ドルの債券交換について債権者の理解を得られなかったことが嫌気されて売られた他、12月6日には中国恒大集団(03333)が債務不履行を示唆しました。これは良くないニュースで同日、同社株は19.6%もの大幅下落となりましたが、同時に広東省政府が作業チームを派遣しているとあります。

これに対して万科企業(02202)や華潤置地(01109)などの大手不動産株は底値から反転、ないしは底値からやや小高い水準での株価推移を続けている状況です。

今後も佳兆業集団や中国恒大集団については悪いニュースが出てくると思われますし、中国本土の不動産セクターが上昇トレンドに乗るということはしばらくないと思われますが、それでもこれらの問題を抱えた企業については、秩序を持って破綻させる方向で話しが進んでおり、株式市場もそれを織り込んできている様子です。

中国大手IT企業が大幅下落した要因とは

一方、香港市場が大きく下落している理由ですが、IT企業が大きく下落していることが主要因となっています。

IT企業が大きく下落した理由ですが、まず、中国当局が11月26日に滴滴出行(DIDI)に対してニューヨーク証券取引所での上場廃止を求めたと報じられたことがあります。

その後、滴滴出行(DIDI)がニューヨーク市場での上場廃止の準備を開始したと発表すると同社株は大きく下落しました。その後も、米規制当局が新規則導入計画をまとめ、会計監査を受け入れない外国企業の上場廃止に向けた動きが前進したとの報道が株価の重しとなっており、その流れが香港市場にも波及しています。

11月29日終値から12月6日終値までの主要IT企業の騰落率はアリババ・グループ・ホールディング(09988)が-13.3%、テンセント(00700)が-3.2%、美団(03690)が-5.1%、香港ハンセンテック指数は-6.6%などとなっています。

香港ハンセンテック指数は2021年2月につけた高値6,792.79から46.5%の下落となっています。なお、この動きは日本市場にも波及しており、アリババや滴滴出行(DIDI)に投資を行っているソフトバンク(9984)の株価は同期間-17.8%の大幅下落となっています。

なお、12月6日の米国株市場ではアリババの最高財務責任者(CFO)とコマース部門責任者が交代したとの報道がきっかけとなり、中国IT企業が自律反発したことから滴滴出行(DIDI)も反発しており、12月7日の香港市場もこの流れを受け継ぐ見込みです。

ただ、IT企業が上昇トレンドに移行するには中国当局との調整がまだまだ必要なこともありしばらく時間がかかるものと思われます。もちろん、その期間、有望なIT関連銘柄を拾うタイミングと考えることも出来ますが、反転のタイミングがどこになるかは見えにくいところですので、引き続き、少しずつ安値を拾っていって時間的に分散投資するのが良い手法であると考えられます。