10円という水準の意味
トルコ中央銀行は18日の金融政策決定会合で、事前に予想されていたように3回連続の利下げを決定した。トルコでは10月CPI(消費者物価指数)が前年同月比で19.9%も上昇するといった具合にインフレ率の大幅な上昇が続く中で、教科書的には真逆と言える利下げを行っていることを受けて、トルコリラは今回の利下げ決定前から「底割れ」のような状況となっていたが、それはさらに広がることになるのだろうか(図表1参照)。
1つ注目されるのは、最近にかけての急落を受けて、さすがに短期的な「下がり過ぎ」懸念が強くなってきたということ。トルコリラ/円の90日MA(移動平均線)は足元で12.6円程度なので、11円を下回るとかい離率はマイナス10%以上に拡大する計算になる。
同かい離率は、2000年以降で3回、マイナス30%以上に拡大した(図表2参照)。具体的には2001年4月、2008年10月、2018年8月で、トルコリラにとってはまさに「10年に一度の暴落」といった出来事だった。では、90日MAを3割以上下回る「10年に一度の暴落」といった動きが、まだ2018年から3年程度過ぎたところで、早速起こってしまうのだろうか。
これまでの実績からすると、「10年に1度の暴落」の合間では、トルコリラ/円の90日MAからのかい離率は基本的にマイナス20%以上に拡大することはほぼなかった。上述のように、足元のトルコリラ/円の90日MAは12.6円程度なので、それを2割下回った水準は丁度10円になる。
以上からすると、これまでの経験則通り、今回がまだ「10年に一度の暴落」の合間の動きにとどまるなら、トルコリラ/円は目先的には日足終値で10円は大きく下回らずに下落が一巡する計算になる。逆に言えば、このまま10円を大きく割り込むようなら、過去になかったほどの短期的なサイクルで「暴落」に向かっている懸念が出てくる。そういった意味では、トルコリラ/円の10円という水準は、重大な分岐点となる可能性がありそうだ。