中国の新たな温暖化対策の動きが明らかに

今週、中国の新たな温暖化対策の動きが相次いで明らかになった。中国は世界の温室効果ガスの26.1%を占め、世界最大となっている(図表1)。米国の12.6%の2倍を超える水準だ。経済成長率も欧米よりも高いことから、他国に比べて削減のハードルは高い。

このため、近年中国の温暖化への取り組み姿勢は世界から注目されていた。そのような中で、日本時間の11日未明、現在開かれているCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)で、突如中国と米国が共同宣言を発表した。二酸化炭素の20倍以上温暖化を進めてしまう「メタン」の排出削減に向けた取り組みなどで今後協力していくという。これに先立ち、COP26では「メタン30%削減」という数値目標が定められたが(2030年までに2020年比で30%削減を目指す)、中国は参加しなかった。

今回の米中宣言は具体性がないなどとも批判されているが、それでも一歩前進であることは間違いない。メタンは一般に農業分野での排出割合が高く、稲作や牛のげっぷ、廃棄物などから出ることから、その削減は、3億人とも言われる中国の農民全体に影響を与えうる。にもかかわらず、中国がこの分野で前向きな声明を発表したことは、大きな意味を持つ。

また、今週初めには、中国人民銀行が新たなグリーン関連の金融政策の条件を発表した。民間銀行の新規グリーン融資額の6割について1.75%でバックファイナンスをつけるというものだ。民間銀行はこの資金を企業にプライムレート(1年物なら3.85%)で貸し出す。企業にとって魅力的な調達金利であり、民間銀行のスプレッドも大きいことから、利用を考える企業・金融機関は多いだろう。

一方で、人民銀行は、今夏には銀行に対してグリーン融資に関する四半期開示を義務付け、これを銀行の評価に盛り込むと発表している。金融機関を通じた環境対策の“アメと鞭”ぶりは日本より相当進んでいる印象である。

中国経済への影響と日本へのインプリケーション

中国のグリーン融資の残高は昨年6月時点で11兆元(約200兆円)と世界最大規模である。新しいグリーン資金供給でどの程度上乗せが図れるのかは不透明だが、政府の温室効果ガス削減の意向もあり、まだ拡大の余地は大きいと考えられる。中国国内の環境関連企業にとっては一層の追い風である。

日本へのインプリケーションは何か。日本も京都議定書等で環境の議論をリードしていた時期もあるが、足元では他国の積極化に押されている。例えば金融面でも、欧州のシンクタンクとNGOによる「グリーン金融センター・ランキング」(2021年10月版)で、日本は、22位と低位となっている(図表2)。前回4月のランキングから9位もランクダウンしており、上位都市の中では最も大きな下落幅となった。因みに前回日本が僅差で勝っていた北京は今回11位に浮上した。

こうした国際的な評価も意識され、日本も環境分野に一層注力して行くことになるだろう。その場合、環境対応度が低い“ブラウン企業”(典型的には、石炭火力発電を持つ電力会社、セメント、鉄鋼など)は金融市場で一層敬遠されかねない。もちろん、対策を進める企業も多いだろうが、世界の温暖化への取り組みの流れは相当早く、一部の日本企業が取り残される可能性は否定できない。仮に割安な銘柄があっても、こうした産業への投資はある程度慎重に考える必要があるだろう。