先週末に日本株相場が演じた急騰の勢いは、その晩の海外時間でも引き継がれた。シカゴCME日経平均先物は2万9595円で引け、3日の大取終値を435円上回った。週明けの日本株相場はとりあえず続伸で始まる公算が高いが、問題は持続力だ。短期間で大幅に上昇しているだけに利益確定売りで反動安となりやすい - と、これまでならそう考えるのが普通だ。

しかし、TOPIXは年初来高値かつ30年ぶりの高値であり、日本株の売り方は全敗という状況だ。利益確定売りで軟化したところは、買い遅れた売り方の買い戻しがすかさず入って、なかなか押さないことが考えられる。短期間にこれだけ上昇すると踏み上げ的な様相が強まるだろう。週末には先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)も控えており、売り方の買い戻しで上値追いに弾みがつくことも考えられる。日経平均は3万円の大台を試す場面もあるかもしれない。

米国では8月の雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回った。景気敏感株が売られダウ平均は下落したが、これでFRBはテーパリングを急がないという見通しが台頭している。11月決定、12月開始という市場のメインシナリオが後ずれする可能性が出てきた。11月のFOMCは2-3日に開催される。10月の雇用統計の発表はそのあとの11月5日。つまり、11月のFOMCで決めるには、あと1回、9月の雇用統計しか点検できない。仮に9月の統計で大幅に雇用が戻ったとして、その1回だけで決定できるか大いに疑問である。おそらく12月のFOMCまで決定は待たれるだろう。8日にはウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演する。何かヒントが得られるか、要注目である。

国内ではコロナ感染の今の波もピークアウトしたように見える。1人の感染者が何人にうつすかを示す「実効再生産数」は首都圏で感染拡大の目安となる1を割ってきた。このままいけば12日までで緊急事態宣言が解除される可能性も高い。緊急事態宣言もあと1週間となれば市場のセンチメントも上向くだろう。

今週の主な予定は、7日に日本の景気動向指数、中国の貿易収支、独のZEW景況感指数、8日に景気ウォッチャー調査、米国地区連銀経済報告(ベージュブック)、9日に工作機械受注、中国の消費者物価指数、欧州中央銀行(ECB)定例理事会などがある。ただ、何といっても市場の注目は国内の政治動向だ。テーパリング開始の遅れ=金融緩和の長期化、緊急事態宣言の終わりが見えてきたことなど、株に資金を向かわせる材料は豊富だ。政策期待も高まって今週も堅調ではないか。