近年、豪雨や台風といった自然災害が相次ぎ、それらを補償している火災保険の保険金支払額が膨んでいます。そのため、2021年1月に火災保険料が値上がりしました。2022年度もさらに値上げが予想され、長期契約期間が10年から5年へと短縮される見込みとなっています。

災害とそれに対する補償。それに対応する火災保険を見直すとしたら、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

自分が加入している補償の内容を知る

ご自身が加入している火災保険ですが、その補償内容はどのようになっているでしょうか。まずはその対象を調べてみてください。

対象は「建物」、「家財」あるいは「建物と家財の両方」の3種類があります。一般的に持ち家の場合は「建物」または「建物と家財の両方」、賃貸では「家財」を対象にした火災保険に入っていることがほとんどです。

また、地震保険に加入しているか、自然災害の補償はどこまで付いているかも確認しましょう。一般的に風災、雹(ひょう)災、雪災は基本補償に組み込まれていますが、水災補償ははじめから付いているものと、特約として付けなければ補償されないものがあります。

これら補償の種類を確認できたら、その補償の範囲、支払要件、損害保険金額も把握しておきます。その上で、その補償範囲や金額に過不足がないかを検討するのが、火災保険の見直しです。

例えば、台風で水害に遭ったとき、補償されるのは建物、家財、その両方のどれなのか。フローリングや畳など床を超える床上浸水という一定条件を満たしているときに、免責額はあるのか、いくらの補償を受けられるのか、ということです。

現状、既に必要な補償内容を満たしているのであればそのままでも良いのですが、補償対象や補償額などが足りていない場合は、見直しが必要です。

どのようなタイミングで火災保険を見直すべきか

補償を見直して足りないと思ったときのほか、住宅の購入、転居、増改築、家族構成の変化など、生活環境や生活スタイルが変わるときが火災保険を見直すタイミングです。

現加入の保険が満期を迎えるというタイミングも、見直すチャンスです。

加入した時にはベストな補償内容だったとしても、時が立ち、環境が変わると、必要なものが必要ではなくなったり、必要なかったものが必要になったりと変化します。

また、最近各地で起きている風水害の報道を見て、我が家の火災保険の補償内容を見直したら、水害補償が付いてなくて不安になったなど、補償の不足を感じた時も見直しのチャンスと言えます。

他者の保険料と比べ、自分が加入している保険の保険料が高いと感じる場合は、補償内容の確認、保険料の他社比較などをして、見直しを図ることも必要でしょう。

保険内容を再検討するコツ

火災保険は、基本的な補償内容と、特約でその保険料が決まります。基本的な補償内容は各社それほど大差はありません。特約を付ける必要がない場合は、シンプルに補償額とそれに伴う保険料を比較し、安いところに加入するのが良いでしょう。

また、地震保険は火災保険とセットで加入するもので、地震や噴火などで引き起こされた火災による被害を補償します。この必要性も検討をしたいところです。

例えば住宅密集地では地震で火災が発生する可能性が高くなるため、地震保険の必要性が高いと考えられますが、耐震性のあるタワーマンションなどでは、地震由来の火災の可能性は低くなります。

水害補償も同様で、戸建てなどは水害で床上浸水する可能性がありますが、マンションの高層階に住んでいるなら水害に合う可能性が低いと言えます。そのような場合は水害補償を外して保険料を下げることも検討できます。

火災保険の特約は各社様々で、各補償の上乗せだけではなく、個人賠償特約や弁護士費用特約など、損害保険会社独自の特約が準備されていたりします。その必要性なども考慮して、見直しを進めると良いでしょう。

もし、契約期間の途中で火災保険を変更することになったとしても、未経過期間分の保険料は、返還されます。