52週MA、そして金利差

注目された28日のFOMC(米連邦公開市場委員会)だったが、予想外に「タカ派」と受け止められ米金利と米ドルが大きく上昇するところとなった前回会合後とは異なり、今回はほぼ予想通りとして米金利も米ドルも逆に低下気味の展開となった。

ただ、米ドルについては、このところ多くの通貨に対して米ドル高トレンドへ転換した可能性が高まっているだけに、それと逆行する米ドル安の動きはあくまで一時的で、限定的にとどまる可能性が高いのではないか。

経験的には、トレンドと逆行する一時的な動きは、52週MA(移動平均線)前後までがせいぜい。ユーロ/米ドルの52週MAは足元で1.195米ドル程度(図表1参照)。また、豪ドル/米ドルの52週MAは0.75米ドル程度だ(図表2参照)。

【図表1】ユーロ/米ドルと52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表2】豪ドル/米ドルと52週MA(2005年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

 

一方、米ドル/円の52週MAは、足元で106.6円程度なので、あくまで「一時的米ドル安」としても、そこまで下落するとなるとかなり大幅な下落といった印象になるだろう (図表3参照)。ただ、実際に米ドル/円が52週MAまで下落するかとなると、かなり微妙ではないか。

【図表3】米ドル/円と52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

米ドル/円は基本的に日米金利差と相関性が高い(図表4参照)。この関係を前提にすると、米ドル/円が足元で106.6円程度の52週MA近くまで下落するには、たとえば米10年債利回り1%割れなどによる日米金利差米ドル優位の大幅な縮小が必要になりそうだが、これは今のところかなり可能性として低そうだ。米ドル/円の「一時的下落」幅は、基本的には日米金利差の動向が目安になりそうだ。

【図表4】米ドル/円と日米金利差(2021年7月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成