ですが、本来の外貨建資産の場合、実体のある有価証券なり預金なりが裏づけとしてあるもので、(ヘッジなしの外国株式や債券への投資信託を含む)それに相応する自己資金のもとで投資をしています。外貨建て資産であるがゆえに為替リスクがあり、為替リスクをとっているだけのものではありません。
FXは分類上では先物取引やオプション取引と同様の店頭デリバティブ取引です。企業の会計処理においても、為替予約はデリバティブ取引として時価評価が原則です。(ヘッジ会計を除く)
つまり、裏づけのない「ポジション」は外貨に投資しているのかもしれませんが、外貨建て資産として捉えることには少々違和感があります。
FXはあくまで為替の「ポジション」で、しかもレバレッジがかかっているため、自己資金の裏付けのあった上で外貨を保有しているわけではありません。この部分を個人資産の中できっちり把握しないとポートフォリオを組むことも難しいですよね。
というのも、FXの場合、自己資金部分は保証金だけだからです。
例で見てみましょう。ドル円のドル買い円売りをしたとします。ドル円を分りやすく100円とし、レバレッジ10倍で1000ドルのロングにしたとします。
ポジション
1000ドル 買い持ち (ロング)
100,000円 売り持ち (ショート)
保証金
10,000円
これで1,000ドルの外貨投資をしています、というと全額自分のお金ではありませんから違いますよね。かといって10,000円の投資かといえば、1000ドル分の為替リスクをとっているので、それも違います。
そこでよく「家計のバランス・シート」と言いますが金融資産管理をするときにも、FXを行っている方の場合は特に、金融資産バランス・シートを作り、資産側は通常の金融商品のポートフォリオ(一般的には円グラフを書きますが)、負債+資本側もポートフォリオを作り、その二つで管理してはどうでしょうか。
バランス・シートにすることで上記の100,000円のショートはレバレッジをかけている部分、つまり借入金と同様だということが把握できます。何気なくレバレッジを大きくしている方も、その分借入金をして投資している、つまり相当の高いリスクをとっていることが実感として分るはずです。
上記の取引をバランス・シートに表すと具体的には下記のようになります。--------------------------------|--------------------------------
資産 | 負債
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1,000ドルの外貨流動資金 | 100,000円の借り入れ
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| 資本(自己資金)
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10,000円の流動性資金(保証金) | 10,000円
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※実際の一般的な会計処理とは異なりますので、ご注意ください。
左側の資産を円グラフにするとよく見かけるポートフォリオ・円グラフです。
(ただし総額は自己資金にはなりませんので、ご注意を!)
右側の負債+資本でも円グラフを作り、二つのポートフォリオを見ての資産管理
をぜひ試してみてください!